1年で優勝、巨人・阿部監督の「若手を律する」凄み その手腕を、マネジメントの観点から考える

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

今季こそ、優勝という悲願を果たして名監督の1人として称賛される阿部監督だが、二軍監督時代は「前時代的」と評されることもあった。

一部で、冗談めかして「ジャイアンツの正式名称は『巨人軍』、軍隊なんだ」と発言したことが報じられたり、二軍監督に就任した直後、大学生チームに敗れたことで選手に“罰走”を課したりと、さながら鬼軍曹のようなイメージを持っていた人もいるのではないか。

若手を中心に、チームを律した

実際、今季も当時さながらの厳しい姿勢を見せてチームを引き締めたことは多々あった。

中でも話題を呼んだのは、7月27日の横浜DeNAベイスターズ戦に先発した井上温大への指導だ。同ゲームの3回裏、ピンチで迎えた打者への初球に阿部監督は「雷」を落とした。

緊張感のある場面ながら、気合の入っていない投球をしたことで、即座に杉内俊哉投手コーチをマウンドに向かわせたのだ。ベンチで阿部監督が非常に厳しい表情を見せ、杉内コーチのそでを引っ張ってマウンドへ向かわせるシーンはSNSでも話題となった。

試合後のインタビューによると、阿部監督は「明らかに抜いているように見えた」として、杉内コーチ経由で井上に「(そんな投球をするのは)10年早い」と伝えたという。

その他、2023年シーズンに高卒3年目ながら2桁ホームランを放ち、今季もさらなる飛躍の機運が高まっていた秋広優人への接し方も特徴的だった。

春季キャンプのスタートに当たり、阿部監督は秋広に対して「最初は三軍にしようかと思った」と語っている。何でも、秋広は2023年シーズンのオフに二度の遅刻を犯したという。

長い歴史を持ち、球界を率いてきたジャイアンツは、プレーだけでなくフィールド外でも自覚を持つことを選手に求めている。「巨人軍は常に紳士たれ」という言葉もあるくらいだ。また、時間に関しては「ジャイアンツタイム」として、集合時間の30分前には集まることが暗黙のルールになっていることも、一部では報じられている。そんな中で、一度ならず二度までも遅刻をした秋広に反省と自覚を促した形だ。

次ページ若手を引き締めるマネジメント
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事