放置なら億単位の賠償も、空き家コスト徹底解剖 固定資産税は最大で6倍に膨れ上がるおそれ
特例措置とは、固定資産税などの課税対象額を減額するというもの。解除されると、固定資産税では負担が最大で6倍に跳ね上がる。実際には激変緩和措置があるため、一気に6倍になることはないが、それでも税負担が3倍超に拡大するというケースが大半だ。
早期の処分がカギ
また、適切な管理をしていたとしても、空き家を維持するコストは年々膨らむ。下図を見てほしい。空き家数が全国トップ級の東京都世田谷区が試算したものだ。空き家となった実家を処分するときの経済的負担を、経過年数などに応じて3つのケースに分けて試算している。
ポイントとなるのは、空き家を売却(譲渡)したときの所得に、一定の条件下で適用される3000万円の特別控除を利用できるかどうか。
相続開始日(親が亡くなった日)から3年後の年末までに売却することが、所得税の特別控除の適用を受ける条件の1つになっている。そのため、処分をずるずると先延ばしにしてしまうと、売却時の所得税負担が大幅に増えることになる。加えて、毎年の固定資産税や基本料金分の水道・電気代、庭木の伐採費用など、年間30万円超の維持コストものしかかってくる。
すぐに売却したケース1と、10年後に売却したケース2では、負担額に1000万円近くも差が出てしまう。さらに、経年劣化によって家屋を解体(除却)しなければいけなくなったケース3では、400万円超の除却費用が追加でのしかかってくる計算だ。
空き家にホームレスが忍び込み、居間で亡くなっていたことで事故物件になってしまった──。そうした事例も起きており、空き家はリスクの塊だ。いざというときに早期に手を打てるよう、生前から親とよく話し合い、準備を怠らないようにしたい。
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