元ニート実業家が考える、成功する「発想法」 経営者も無一文も体験して見えてきた

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③ 口コミを作る
また、大抵の劇団は4日間くらい劇場を借りて公演をしていますが、これを20日間借りることにしました。大抵は、「そんなにお客さんは来ないから」と思って借りないのかもしれませんが、4日では口コミも起こりません。口コミが起こらなければ、結局、「好きな人だけが見に行く」ということだけで終わってしまうのです。

こうやって考えれば、利益を上げる方法は色々とあるのです。

なお、事業を成功させるためには「主観を排除して市場のニーズに応えること」が必須です。当たり前のように聞こえるかもしれませんが、この前提は絶対に忘れてはいけません。

「何もしない勇気」を持て

最後に、ときには「何もしない勇気」も必要という話をしたいと思います。

僕は体調を崩し、自分が作った会社を売却せざるをえなくなったことがあります。運よく買ってくれる企業が見つかったものの、その後、僕は引きこもりとなります。まあ、ニートみたいなものです。実家に戻って畑仕事をしたり、弓道をやってみたり、釣りをしたりして過ごしました。

こんな生活をしていてはダメなのではないだろうか。当然ながら思います。そして、僕は1度売った会社を取り戻し、再度、経営することにしました。これは実は、金融機関の方から見たらありえないことなのです。

自分が作った会社を売却することをゴールにする人もいますから、仲介した証券会社の方から見たら「売って儲けたんだから、それでいいじゃない。やり直すなんてバカじゃないの」ということです。でも、何もしない時期があったからこそ、僕は自分が本当にやりたいことがわかったのです。

空虚感が嫌ですぐにスケジュールを埋めようとする、やることを見つけようとする。でも、それでは表面的には充実しても、結局、自分の本当のやるべきことから目をそむけたままですから、いつまでたっても、充実感も自己肯定感も生まれません。

人生に1度くらいは「何もしない勇気」を持つと、自分の進むべき道が見えてくるかもしれません。これが人生で成功する秘訣だと思います。

山口 揚平
やまぐちようへい

事業家・思想家。早稲田大学政治経済学部卒。東京大学大学院。1999年より大手外資系コンサルティング会社でM&Aに従事し、カネボウやダイエーなどの企業再生に携わった後、独立・起業。企業の実態を可視化するサイト「シェアーズ」を運営し、証券会社や個人投資家に情報を提供する。2010年に同事業を売却。クリスピー・クリーム・ドーナツの日本参入、ECプラットフォームの立ち上げ(のちにDeNA社が買収)、宇宙開発事業・電気自動車(EV)事業の創業・投資および資金調達にかかわる。その他、Gift(ギフト:贈与)経済システムの創業・運営、劇団経営、世界遺産都市ホイアンでの2店舗創業(雑貨・レストラン)・海外ビジネス研修プログラム事業、日本漢方茶事業、アーティスト支援等、複数の事業・会社を運営する傍ら、執筆・講演活動を行っている。専門は貨幣論・情報化社会論。 NHK「ニッポンのジレンマ」論客として出演テレビ東京「オープニングベル」、TBS「6時のニュース」日経CNBC放送にコメンテーターとして出演。慶應義塾高校非常勤講師、横浜市立大学・福井県立大学・アカデミーヒルズなどで講師をつとめた。 著書に、『なぜか日本人が知らなかった新しい株の本』(ランダムハウス講談社)『デューデリジェンスのプロが教える 企業分析力養成講座』(日本実業出版社) 『世界を変える会社の創り方』(ブルー・マーリン・パートナーズ)『そろそろ会社辞めようかなと思っている人に、一人でも食べていける知識をシェアしようじゃないか』(アスキー・メディアワークス)『なぜゴッホは貧乏で、ピカソは金持ちだったのか?』(ダイヤモンド社 )『10年後世界が壊れても、君が生き残るために今、身につけるべきこと』(SBクリエイティブ)等がある。

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