このように、群馬県の鉄道は、高崎駅を中心にして首都圏と信越を連絡する要としての役割を持っている。渋川駅で上越線と分かれ、草津温泉の玄関口である長野原草津口駅などに向かうJR吾妻線も、嬬恋経由で長野県に入り、信越本線豊野駅まで連絡する計画があったくらいだ。
ちなみに、特急「草津・四万」が走る吾妻線、2014年には八ッ場ダム建設による付け替え工事が行われている。
ローカル私鉄・上信電鉄も吾妻線と同じく長野県入りを目指した過去を持つ。富岡製糸場の開設によって鉄道建設の要請が高まり、1897年に開業した老舗私鉄。当時は上野鉄道と名乗っていたが、県境越えを目論んで1921年に上信電気鉄道(のちに上信電鉄)に改称している。こちらも夢は叶わず、1897年以来終点はネギでおなじみ下仁田である。
東西に横断する路線
群馬県の鉄道の役割が、首都圏・信越連絡の要だとすると、ならば東、つまり北関東仲間の栃木県との連絡はどうなっているのだろうか。群馬と栃木の県境付近は、「両毛地域」などと呼ばれている。古くは繊維産業で栄え、県境を越えて結び付きの強い地域だ。ここを東西に貫いて走っているのが、両毛線である。
上越線の新前橋駅で東に分かれ、県都・前橋を経て伊勢崎や桐生、足利といった両毛地域を代表する都市を連絡、小山駅でJR宇都宮線・東北新幹線と接続する。沿線で生産されていた生糸製品の輸送を目的に、1889年までに全通した。
桐生駅が両毛線では群馬県内東端の駅で、桐生駅からはかつて足尾銅山の産業路線だった旧国鉄(JR)足尾線、現在のわたらせ渓谷鉄道が山の中に分け入ってゆく。
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