市民団体が子どもの尿やハウスダストからセシウム検出、「侮ってはいけないレベル」と警鐘
福島県および岩手県の子どもの尿を検査したところ、20人中12人の尿から放射性セシウムを検出--。市民団体「福島老朽原発を考える会」(略称フクロウの会)がフランスの放射線測定機関と連携して実施した調査で、このような事実が明らかになった。
フクロウの会では5月下旬、7月下旬に続き、9月下旬から11月上旬にかけて尿検査を実施(対象は3歳から22歳まで。男子9人、女子11人。うち20歳以下が19人)。今回の調査での検出レベルはセシウム134および同137合計で0.84~4.64ベクレル/リットルとなり、5月末および7月末の調査と比べても高い値が目立った。
また、セシウムが検出された被験者は福島県内(福島市、伊達市、郡山市)のみならず、岩手県内(一関市)でも確認され、「より広い範囲での内部被ばくの事実が確認された」(フクロウの会の青木一政氏)。なお、今回の測定では一関市在住の子どもの尿から最高値(4.64ベクレル/リットル)が検出された。
また、尿検査対象者に合わせて依頼した家庭内のハウスダスト検査(福島県、岩手県および比較のために千葉県柏市、大阪府吹田市の協力者にも依頼)でも、吹田市を除くすべてのサンプルから放射性セシウムを検出。数値はセシウム134および同137合計で、381~1万9500ベクレル/キログラムだった。最高値は福島市渡利地区(1万9500ベクレル/キログラム)だったが、一関市や柏市でも約6000ベクレル/キログラムを計測。「広い範囲での高濃度の汚染が明らかになった」(前出の青木氏)。
セシウムは食事や呼吸によって体内に摂取された後、筋肉や血管、膀胱などの臓器に蓄積される。チェルノブイリ原子力発電所事故後のベラルーシでの調査でも、放射線量の高い地域の住民の間で、膀胱の組織に上皮異形成や上皮内がんなど異常が多いことが判明している。
「今回の日本での調査結果は、ベラルーシでの調査と比べても決して低い値ではない。侮ってはいけないレベルだ」と青木氏は指摘している。
※写真は12月16日の参議院議員会館内での記者会見
(岡田 広行 =東洋経済オンライン)
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