PTAの「あの人はズルい」をなくす新組織が続々 おやじの会スタイルで「やりたい」をサポート
「保護者と学校との間を取り持つ仕組みはあったほうがいい。でもそれは、教職員が参加するPTAでなくてもいいだろう、と考えていました」
PTAは、保護者(Parents)と教職員(Teacher)がつくる組織(Association)だが、サポーターズクラブに参加するのは保護者のみ。入退会は自由で、会費はない。同校の保護者約1千世帯のうち、97%が入会する。本部メンバーは19人で、男女比はほぼ半々だという。
塚田南小ができる前、成瀬さんは近隣の小学校でPTA会長を務めていた。成瀬さん自身、PTAには疑問があった。
入退会自由のはずなのに、全保護者が平等に参加を求められる「負担感」の強い組織になってしまったと感じていた。さまざまな事情でPTA活動をできない保護者もいるのに、「あの人はズルい」「まだ役員、委員をやっていない人がいる」と陰口を叩かれることもある。
「おやじの会」スタイル
参加者が無理なく活動でき、充実感も得られるようなボランティア組織にしたかった。
「新しい小学校につくる組織は、『おやじの会』のスタイルがいいと思っていた」(成瀬さん)
おやじの会とは、父親たちが中心になって、子どもたちのために遊びやスポーツなどのイベントを開催する組織のことだ。
PTAの傘下にあるものもあれば、地域の人が誰でも参加できるものもあり、全国に4千以上あるといわれる。やりたい人がやる、ボランティア活動という位置づけで、家庭や仕事の都合で参加できない人がいても気にしない。
4月の開校時、中心メンバーは10人ほど。初仕事は6月、運動会の手伝いだった。
多くの学校は、保護者が運動会を参観することを認めているが、児童への指導や競技の進行で教員は忙しい。参観者の受け付けや誘導などには人手が必要だ。そこで、成瀬さんらが運動会の手伝いを募集すると、70~80人の保護者が手を挙げた。