「石破氏の謝罪演説」から斎藤元知事に言えること 謝罪で成功した男と絶対謝らない男を分けた命運

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同氏の秘書を務めた早坂茂三氏の著書などでも、いろいろエピソードが語られていますが、私は田中元首相が、お金以上に「メンツ」を重視した姿勢にとても興味を惹かれます。

お金以上に、「その人」の存在を尊重すること。資金援助するときは渡すほうが土下座をしてお渡ししろという気配り。人間心理の機微をよく突いたものだと思います。

古来歴史上でも、単なる経済的メリットだけでなく、メンツや尊厳を大切にして味方を増やしたリーダーと、逆に部下たちに援助を与えてもそれを生かせず、離反されたリーダーがいます。

これまで正論一本でやってきた石破氏が、最大の見せ場で謝罪を行ったことは、議員含め自民党員の投票を動かす大きな原動力になったと考えられます。ここぞという場面で、師の教えを実践できたのではないでしょうか。

石破茂
総裁選を終え、岸田文雄首相や犬猿の仲とも言われる麻生太郎氏らが見守る中、スピーチする石破氏(写真:時事)

一方、「謝らない男・斎藤前兵庫県知事」は…

時期を同じくして、パワハラ、公益通報の握りつぶし、優勝パレード資金問題など、さまざまな疑惑と批判にまみれた斎藤元彦・前兵庫県知事は、県議会による不信任決議に基づき、自ら知事失職を選択して県庁を去りました。

連日の報道や轟轟たる世論、記者会見での突き上げがあっても辞職しない斎藤氏は、「鋼のメンタル」とも呼ばれました。職務を遂行することを宣言し続け、テレビに出演して自身の正当性や業績アピールをしました。

もちろん会見などでの発言で、自分の言動に不適切な点もあったことは認めています。しかしそれは発言の表現などについてのものであり、問題の本質であるパワハラや公益通報への対応については、終始「適正だった」と言い続けました。

表面的なお詫びはしても、本質部分では終始一貫して、一度も謝罪はしていないといえます。

斎藤氏の判断は、失職を受け入れる会見で述べていたように、「(知事を)辞めるほどの問題ではない」というものです。だから謝る必要もないという理屈になるのだと思います。

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