ソニーの「最新Xperia」は何が進化したのか 強化するべき製品分野は明確に
これまでソニーは、映像技術が進化する節目の時期に、グループ内の映画会社、放送機材、シアター向け映写機など、あらゆる分野で新技術を採用して早期に立ち上げる「One Sony」戦略を実施してきた。ブルーレイはその好例だ。しかし、UHDブルーレイでは社内の各部署が連携するのではなく、製品部門がそれぞれ判断しているように見える。
平井氏はUHDブルーレイに関して「現時点で案内できる製品はない。出さないというわけではなく、世の中のいろいろな状況を鑑みて判断する」と話しただけで、具体的な事業計画を語ることはなかった。
また平井氏は、プレゼンテーションの最後にSAP(Seed Acceleration Program:斬新なアイディアを持つ社内ベンチャーの活動を支援する制度)と、SAPによって生まれ始めた新しい製品を紹介した。
スマホやタブレットと連動する電子DIYキット「MESH」、電子ペーパーを用いたカスタマイズ可能なリモコン「HUIS」、同じく電子ペーパーを用いた「FES Watch」などがそれだが、IFAにはリストバンド部に非接触通信機能やウェアラブル機器の機能を組み込んだ「wena wrist」を持ち込んだ。
平井氏はSAPがソニーにどのような影響を与えるかという質問に対して「いわば”打率を上げる”ための施策。日々新しいアイディアは提案されているが、それらのアイディアを昇華させ、より良い商品・事業へと発展させることが目的」と話す。「今すぐに本業の事業収益に貢献するわけではないが、アイディアと技術を最大限に活用すれば、不動産事業のように早期の事業化も見込める」と応じた。
激しい市場環境の変化
もうひとつ力を入れているものとしてB2Bがある。CESで発表した、デジタルイメージング技術を活かした自動車向けソリューションなど、ソニーの技術を他社製品に活かしていく計画については「今すぐにすべてはお話できないが良い方向に進んでいる」と答えるにとどまった。
平井氏が社長に就任以来、エレクトロニクス製品の会社として「攻めるところは攻める」とスコープを拡げてグループ内にあるアイディアや技術を集め、いくつかの製品に反映されてきた。しかしその過程においても市場環境は変化し、VAIO部門の売却、テレビ部門の分社化といった大きな組織再編も進んでいる。
SAPや新規B2B事業の開拓など、ソニーのエレクトロニクス事業を母体とする技術を用いる試みは、まだ始まったばかり。ここから新たな成長軸を生み出す計画だが、まだ成果は出ていない。「やっと方向が定まってきたところ」という段階だろう。それぞれの施策が本当に成長軌道に乗るかは、まだ見極めに時間が必要だ。
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