ストロング系「1日10缶男」断酒後に体に起きた異変 アルコールから離れても、一件落着とはならずに…

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やはり、酒を飲みたいという気持ちはあるが、過去に飲みすぎたことで苦しんだことを体が覚えているので、迂闊に手は出ない。ただ、飲み会や居酒屋は好きなため、飲まなくてもひとりで入店することもある(ちなみに、この原稿はスポーツバーのHUBでコーラを飲みながら書いている)。

アルコールではない、その他の依存先を見つけた

そして、食生活も可能な限り1日3食を目指しているが、今でも仕事が忙しいのは変わらないため、難しいときもある。とはいえ、飲酒と同時に食欲が増進するようなことはなくなったので、かつてのような暴食はしていない。

その一方で、体内からアルコールが抜けた結果、ドーパミンを分泌させるためなのか、毎日ホールケーキ半分程度のコンビニスイーツを口に頬張っている。

「中島らもや吾妻ひでおの本に書いてあった通りだ!」と当初は体の変化にワクワクしたが、酒よりも甘いもののほうが金はかかるのだ。ようやく酒をやめられたのだが、毎月の食費がいくらかかっているのか、考えたくもない。

スイーツの写真その2
今は減ったが、断酒して間もない頃は、体が糖分を欲し、大量のコンビニスイーツを食べていた(筆者撮影)

おまけに前編でも書いたが、今は毎晩ノンアルコール飲料を5缶も飲んでいる。それもジュースではなく、ノンアルコールビールやノンアルコールレモンサワーだ。今はこれがないと飲酒欲求を抑え込むことができず、さらに眠ることができない。

ノンアルコール飲料
飲酒欲求を抑え込む意味もあって飲んでいるノンアル飲料。もちろん、飲み過ぎは体に良くはないが、背に腹は代えられない(筆者撮影)

また、深酒しなくなったため、最近はよく夢を見る。筆者は中学2年生から父親の仕事の関係でアメリカに引っ越すことになったのだが、なぜか渡米初日の光景が繰り返される。当時は不安と楽しみの両方を抱えていたのだが、今見ている夢の中で筆者は「アメリカにもノンアルコールのレモンサワーはあるのかな?」と両親に聞いている。夢の中の自分は中学生だが、その夢を見ている筆者の頭の中は30代なのだ。いよいよ、ノンアルコール飲料に依存し始めている。

このように、今ではアルコールではない、その他の依存先を見つけた(見つけてしまった)。幸か不幸かわからないが、今は毎日ストロング系を10缶飲んでいた頃よりも健康ではある。定期的に通っている病院では体重が減らないことを心配されているが、それは夕食の代わりにコンビニスイーツを大人買いして、一気にかき込んでいるからだ。

今後、ノンアルコール飲料、スイーツ、そして今回詳しくは書かなかったが、睡眠導入剤を、また酒のときのように止められてしまっても(むしろ、止められたい)、結局次の依存先を見つけることになるのだろう。「今のうちにNintendo Switchでも買っておこう」と思うと同時に、なにかに依存していないと生きていけない読者(同志)には、筆者の体験談が少しでも学びになることを願っている。

千駄木 雄大 編集者/ライター

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せんだぎ・ゆうだい / Yudai Sendagi

編集者/ライター。1993年、福岡県生まれ。奨学金、ジャズのほか、アルコール依存症に苦しんだ経験をもとにストロング系飲料についても執筆活動中。奨学金では識者として、「Abema Prime」に出演。編集者としては「驚異の陳列室『書肆ゲンシシャ』の奇妙なコレクション」(webムー)なども手掛ける。著書に『奨学金、借りたら人生こうなった』(扶桑社新書)。原作に『奨学金借りたら人生こうなる!?~なぜか奨学生が集まるミナミ荘~』がある。毎月、南阿佐ヶ谷トーキングボックスにて「ライターとして食っていくための会議」を開催中。

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