ついに出た"3つ折り"に触れて感じたスマホの未来 ファーウェイの最新機種が中国で注目されている

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

Mate XTは1枚のディスプレイを「Z字」に折り曲げる構造になっている。つまりディスプレイのヒンジは1ヵ所が“山折り”に、もう1ヵ所は“谷折り”になる。

現在、販売されている2つ折りスマートフォンのほぼすべてがディスプレイを谷折りにする構造だが、ファーウェイは山折り、谷折り2タイプの折りたたみスマートフォンを販売してきた。Mate XTはその2つのタイプの画面を1枚につなげたようなものであり、過去の経験があったからこそ3つ折りスマートフォンの商用化にいち早く到達できたのだろう。

なお、Mate XTの3つ折りディスプレイは中国の大手ディスプレイメーカー、BOEと共同開発したものだ。実はサムスンディスプレイも3つ折りディスプレイ「Flex S」を先に完成させており、試作品を展示会などで積極的に見せてきた。

だが、3つ折りスマートフォンの商用化では中国メーカー連合が一気にサムスンを追い抜いてしまった。2つ折りスマートフォンの薄型競争でもサムスンは中国メーカーの後塵を拝しており、この市場はこれから中国勢がけん引していくことになるかもしれない。

タブレットをいつでも持ち運べる利便性

Mate XTは前述したようにZ型、2段階に折りたたまれている。まずディスプレイを左に開くと2つ折りスマートフォンと同様の正方形サイズになる。

このときの画面サイズは7.9インチで、サムスンやグーグルの折りたたみモデルを開いたときとほぼ同じ大きさになる。2つのアプリを左右に並べて使ったり、動画を撮るときに大きな画面でプレビューしながら撮影するといった便利な使い方が可能だ。

そしてもう1段階開くと10.2インチの大きな画面サイズとなる。縦横比は16:11の横長であり、一般的なタブレットとほぼ同じ形状だ。市販されている10インチから12インチクラスのタブレットはカバンへの収納もよく持ち運びに適した大きさだが、片手で持ってそのまま街中を歩こうとは思わないだろう。

だがMate XTならカフェやオフィスでディスプレイを開き、ワイヤレスキーボードを接続して仕事を行い、終わった後は本体を折りたためば片手で持ち運ぶことができる。なお一緒に持ち運ぶキーボードも折りたたみ式がいいだろう。実はファーウェイストアではMate XTの展示のすぐ横で折りたたみ式キーボードもしっかりと販売されている。

このように3つ折りスマートフォンの最大の特徴は「タブレットをどこにでも持ち運べる」ことであり、これは2つ折りスマートフォンでは得られない体験だ。Mate XTをしばらく使ってみると、2つ折りスマートフォンが中途半端な存在に思えてしまうほどだった。

10.2インチの画面いっぱいにスプレッドシートを広げれば業務も捗るし、動画を再生すれば迫力ある映像が飛び込んでくる。2つのアプリを開くときも、片方は正方形サイズ、もう片方はスマートフォンサイズと余裕ある表示が可能であり、これも2つ折りスマートフォンではできない芸当だ。

折りたたみスマートフォンが市場に登場したのは2018年だったが、それから6年が過ぎ「ようやく使い物になる折りたたみスマートフォン」が実用化された、Mate XTからはそのような印象を受けた。

ただし価格の高さは購入の大きなネックだ。他メーカーの参入やディスプレイコストの低減などにより、現行の2つ折りスマートフォンと同様の20万円台程度まで価格が下がれば普及は一気に進むかもしれない。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事