ついに出た"3つ折り"に触れて感じたスマホの未来 ファーウェイの最新機種が中国で注目されている

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
三つ折りスマホ
2つのアプリの同時利用も実用的だ(筆者撮影)

中国1位メーカーの底力はアップルも及ばない

数年前までの中国市場を見ると、ファーウェイはスマートフォン出荷量で堂々のシェア1位だった。通信性能、カメラ性能、OS機能、本体の仕上げなど、ファーウェイのスマートフォンはあらゆる点で他社品を上回っていたのだ。日本でファーウェイのスマートフォンを過去に使っていた人なら、これに異論を唱える人はいないだろう。

だが、2019年にアメリカ総務省からの制裁を受け、ファーウェイはスマートフォンの開発・生産に急ブレーキがかかった。シェアは1桁台まで下落し、ファーウェイの抜けた穴を中国他社とアップルが奪い合う情況になったのだ。その結果2023年は僅差でアップルがシェア1位に上り詰めた。

しかし、ファーウェイはこの間もスマートフォン開発の手を緩めることはなく、虎視眈々と復活の日が来ることを目指した。2022年には世界初の物理的な絞り羽をカメラに搭載する「Mate 50」を、2023年には制裁を回避した自社開発チップセット搭載の「Mate 60」を投入。どちらも発売直後は入手困難になるほどの人気となった。特にMate 60はiPhone 15の登場時期とかぶったこともあり、アップルの販売数を下げたと言われている。

2024年は4月にレンズが沈胴する構造の「Pura 70 Ultra」を発表し、その後の動向に注目が集まった。そしてこの9月にMate XTが登場。発表は9月10日、発売は9月20日とiPhone 16に真っ向からぶつけてきたのは、ファーウェイの堂々たる自信の表れだ。

カメラボタンの搭載や、中国では使えないAI機能を売りとするiPhone 16が、世界初の3つ折りスマートフォンに話題性で勝ることは難しい。もちろんアップルには確固たるブランド力や強力なエコシステムがあるが、制裁前を見ればわかるように中国の消費者はもともとアップルよりファーウェイの製品を好んで使っていたのだ。

iPhone 16のライバルとなるファーウェイのスマートフォンは、この冬に発売予定とされる「Mate 70」(仮称)だろう。3つ折りモデルのMate XTはアップルだけではなく他社を見ても比較できるモデルはなく、ファーウェイ唯一無二の至高の製品なのである。

ファーウェイはこのMate XTを2025年からグローバル市場にも投入予定だ。数年で存在感を一気に失ったファーウェイだが、3つ折りスマートフォンを引っ提げて中国市場のみならずグローバル市場でも復活の狼煙を上げようとしているのだ。

三つ折りスマホ
3つ折り旋風でファーウェイ復活を感じた(筆者撮影)
山根 康宏 携帯電話研究家・ジャーナリスト

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

やまね やすひろ / Yasuhiro Yamane

香港在住。石油化学企業の製造・研究・国際貿易業務を経てからフリーのジャーナリストに転身。中国および海外のスマートフォンや通信事情に精通。取材範囲は自動車、スマートシティー、インダストリー4.0、リテール、デザイン、材料まで幅広い。年の大半を海外市場の市場調査および海外展示会・発表会取材に当てており、脚で稼いだ情報を武器とする。大手IT系メディアに定期的に記事を執筆するほか、海外通信事情などの講演も積極的に行う。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事