【産業天気図・ソフト/サービス】金融需要などで活況続く。人材確保が課題に

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ソフト・サービス業界は、06年度中盤を過ぎても活況感が衰えない。経済産業省の特定サービス産業動態統計調査(特サビ統計)によると、直近の06年10月、業界売上高は前年同月比110.7%に達し、今年最高の伸びを記録した。需要はメガバンクを中心とした金融、省庁システムなどの公共が柱。さらに期初には目立たなかった自動車・半導体など製造業からの引き合いも着実に伸びている。産業を問わず企業全般で回復したIT投資が繁忙につながっている。
 ソフト・サービス最大手の富士通<6702.東証>を始めとした主要各社には、この“書き入れ時”が07年度も続くと見る向きが少なくない。富士通、NTTデータ<9613.東証>、野村総合研究所<4307.東証>といった代表企業は過去最高益を更新する勢い。空模様の見通しは、前回9月特集の「快晴」を踏襲する。
 ただ懸念材料は、主要企業で不採算案件が散見されること。富士ソフト<9749.東証>や日立情報システムズ<9741.東証>、TIS<9751.東証>などが、その例だ。それらにおおむね共通する背景は、引き合いが非常に旺盛かつ大型案件が豊富にある一方で、システムエンジニアなど人的リソースが業界全体で慢性的に不足し、無理な開発に陥りやすい環境となっている点だ。新日鉄ソリューションズ<2327.東証>などのように海外オフショア開発を拡大して人手不足をしのぐ戦略の企業もあるが、言語や商習慣の異なる海外への開発委託は、逆に不採算化を招くリスクも否めない。
 こういった中、グループ企業と合併し規模と業務範囲を急拡大させた伊藤忠テクノソリューションズ<4739.東証>のように、親和性の高い企業との合併・提携で開発人材を確保できる会社は波に乗れるかもしれない。その一方で、無理な開発リソース確保に走った企業は、十分に好況を享受できないどころか、活況の下で業績を落とす結果にもなりかねない。
【杉本りうこ記者】


(株)東洋経済新報社 会社四季報速報プラス編集部

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