中国電池CATL、江西省の一貫生産拠点を部分停止 採算割れの選鉱場、リチウム相場の低迷響く

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翌年の2022年4月、CATLは宜春市奉新県にある「梘下窩鉱区」の採掘権を8億6500万元(約174億円)で獲得。当時の報告書によれば、この鉱区ではリチウム金属換算で265万トン以上が採掘可能であり、投資額は21億5800万元(約433億円)と見積もられていた。

CATLの電池工場は宜春市産よりも安価なリチウム原料を調達して操業を続けている。写真は同社の電池生産ライン(CATLのウェブサイトより)

その後、CATLは宜春市で年間4500万トンのリチウム雲母の採掘と同3300万トンの選鉱を行うプロジェクトを始動。それらは2023年後半に操業を開始したが、(リチウム相場が下落したため)フル稼働には至っていない。

史上最高値から9割暴落

CATLが宜春市の一貫生産拠点を建設している間に、炭酸リチウムの相場は大きく揺れ動いた。2021年末には1トン当たり20万元(約401万円)の大台を超え、値上がりがさらに加速。2022年11月には同60万元(約1204万円)の史上最高値をつけた。

ところが、それをピークに相場は急落に転じ、最高値から9割近く落ち込んだ現在も底値が見えない状況になっている。

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リチウム相場の上昇局面では、精錬コストが高くつく宜春産のリチウム雲母を使っても十分採算が合うと、電池業界の関係者の多くが考えていた。そのため数十社の企業が宜春市への進出を競い、中でもCATLのプロジェクトは投資規模でも生産能力でも最大級だった。

それだけに、同社のリチウム選鉱場の操業停止は、進出企業の目下の苦況を象徴していると言えそうだ。

(財新記者:盧羽桐)
※原文の配信は9月11日

財新編集部

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Caixin

2009年設立の財新は中国の経済メディアとして週刊誌やオンライン媒体を展開している。“独立、客観、公正”という原則を掲げた調査報道を行い、報道統制が厳しい中国で、世界を震撼させるスクープを連発。データ景気指数などの情報サービスも手がける。2019年末に東洋経済新報社と提携した。(新型肺炎 中国現地リポート「疫病都市」はこちらで読めます

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