KDDIとローソンが描く"未来のコンビニ"の姿 人手不足解消と顧客体験向上の両立を目指す

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Pontaとpovoという2つのアプローチで、KDDIとローソンは顧客接点を大幅に増やし、双方の事業拡大を図る。

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KDDIのサブブランドの通信サービス「povo」は、ローソン来店で毎月1GBをプレゼントする特典を用意した(筆者撮影)

ハッピー ローソン・タウン構想

三菱商事、KDDI、ローソンの3社は、「ハッピー ローソン・タウン構想」を掲げている。この構想は、コンビニエンスストアを中心とした新しい地域社会の形を描くものだ。ローソン店舗を地域の核として位置づけ、周辺の住宅、オフィス、医療施設、教育機関などと有機的につなげることを目指している。テクノロジーを活用して効率的かつ快適な生活環境を実現し、同時に地域に根ざしたサービスを提供することで、コミュニティの活性化を図る。具体的には、高齢者の見守りサービス、地域の防災拠点としての機能強化、地域特産品の販売促進などが計画されている。

ハッピー・ローソン・タウン構想
ローソンを中核とした街づくりを行う「ハッピー ローソン・タウン構想」。2030年をめどに実現を目指すという(筆者撮影)

この構想を実現するため、3社は先に述べた高輪店舗での実証実験で導入される技術を基盤としつつ、さらに広範な取り組みを進めている。例えば、高輪店舗で検証される自動品出しロボットやスマートシェルフなどの技術は、人手不足対策や効率的な在庫管理として、ハッピー ローソン・タウン構想においても重要な役割を果たす。また、AIを活用した需要予測は、食品ロス削減にも貢献する。

地域の安全・防災強化に向けては、2024年9月18日に防災・災害発生対処活動に関する協定を締結した。この協定に基づき、高輪店舗で実験されるドローン技術を発展させ、周辺パトロールや地域安全の強化に活用する計画だ。さらに、地域の移動課題に対応するため、オンデマンド乗合交通との連携も検討されている。

KDDIが出資するオンデマンド乗合交通「mobi」の乗り場をローソンに設置する取り組みも沖縄県などで進めている(筆者撮影)

竹増社長は、この「ハッピー ローソン・タウン構想」について、すでに実現に向けた具体的な協議を進めている自治体があると語った。「構想を発表して以来、多くの自治体からお声がけいただいています。具体的な街づくりの計画が見えてきた自治体もあり、近いうちに皆様にご報告できる見込みです」と、構想の実現に向けた手応えを示した。

一方で、高輪店で導入される先進的な技術やサービスは、そのまま全国展開されるわけではない。竹増社長は「高輪店はあくまでも実験の場です。ここで得られた知見や技術を、各地域の特性やニーズに合わせてカスタマイズし、最適な形で展開していきます」と説明した。

例えば、都市部では無人店舗技術を重視し、過疎地域では遠隔医療サービスを充実させるなど、地域ごとに最適なサービスを展開するアプローチとなるだろう。

将来的には、三菱商事の海外ネットワークを活用し、ローソンの海外展開も視野に入れているが、まずは国内での成功モデルの確立に注力する方針だ。「ハッピー ローソン・タウン構想」の成功は、日本の地方創生や少子高齢化対策のモデルケースとなる可能性を秘めており、その実現に向けた取り組みが今後も注目されるだろう。

石井 徹 モバイル・ITライター

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いしい とおる / Toru Ishii

1990年生まれ。神奈川県出身。専修大学法学部卒業。携帯電話専門媒体で記者としてのキャリアをスタート。フリーランス転身後、スマートフォン、AI、自動運転など最新テクノロジーの動向を幅広く取材している。Xアカウント:@ishiit_aroka

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