推定22億「ストラディバリウス」と宇宙の深い関係 「地球と銀河」偶然から生まれた"数々の奇跡"

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さらに離れて、宇宙全体が見渡せるところまで行ってみましょう。

無数の銀河は宇宙全体にバラバラに散らばっているわけでなく、特徴的な形をつくっていることに気づきます。宇宙では、銀河団や超銀河団のように銀河が集まっている部分と、銀河がまったくない部分に分かれています。

「宇宙の泡構造」のイラスト
銀河が密集している部分と、まったくない部分がある「宇宙の泡構造」(画像:『東大宇宙博士が教える やわらか宇宙講座』より)

まるで都市部と山間部のように、宇宙には銀河の密集地と過疎地があるのです。

銀河がないエリアは、銀河が連なった部分に囲まれるような形になっています。これを「宇宙の大規模構造」といいます。せっけんの泡がくっつき合うようにも見えるので、「宇宙の泡構造」とも呼ばれていて、宇宙で最も大きな構造物です。

おもしろいことに、「『銀河の連なり』と『脳の神経細胞の連なり』が似ている」と指摘する論文があります。

もしかしたら宇宙は、巨大な生物の脳みそなのかも!? そんなSFチックなことを想像してしまうぐらい、ロマンがある話ですよね。

脳のイラスト
「銀河の連なり」と「脳の神経細胞の連なり」は似ている(画像:『東大宇宙博士が教える やわらか宇宙講座』より)

宇宙のなかの「地球の住所」は……

大きな視点から、宇宙のなかのどこに地球があるのかを整理しておきましょう。

地球の住所は、「ラニアケア超銀河団・局所超銀河団・局所銀河群・天の川銀河・太陽系・地球」ということになります。

宇宙には、たくさんの銀河が織りなす「宇宙の大規模構造」があり、そのなかに、銀河の密集した超銀河団があります。その1つの「ラニアケア超銀河団」のなかに「局所超銀河団」があり、そのなかに「局所銀河群」があって、そこには数十個の銀河が所属しています。

そのなかの1つが「天の川銀河」で、天の川銀河の郊外に太陽系があり、太陽系の一等地に地球があります。私たちは空気と地磁気に守られながら、くるくると回り続ける地球の上で1日1日を過ごしているのです。

宇宙は壮大ですね。宇宙と比べたら、どんな人も「無」みたいなものです。

でもそんなちっぽけな私たちが、宇宙の大きな構造にまで考えを及ぼすことができるーーこれって、すごいことですよね?

広大な宇宙は、「人の存在の小ささ」と同時に、「人の可能性の大きさ」も気づかせてくれるのです。

(イラスト:村上テツヤ)

井筒 智彦 宇宙博士、東京大学 博士号(理学)

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いづつ・ともひこ / Tomohiko Izutsu

1985年生まれ。東京大学理学系研究科 地球惑星科学専攻 博士課程修了。NASA(アメリカ航空宇宙局)人工衛星のデータ解析により、宇宙プラズマの乱流輸送現象を世界で初めて実証し、2010年地球電磁気・地球惑星圏学会にてオーロラメダルを受賞。東京大学での研究を終え、コロラド大学のNASA人工衛星解析チームに入る話が進むも辞退し、2013年少子高齢過疎化が進む広島県北広島町芸北地域に移住。宇宙飛行士のコスプレをして、テレビ、ラジオ、新聞、YouTubeなどのメディアで宇宙の魅力を楽しく伝えながら、「宇宙町おこし」に取り組んでいる。その活動が評価され、2015年公益社団法人日本青年会議所の人間力大賞・総務大臣奨励賞を受賞。●井筒智彦YouTubeチャンネルhttps://www.youtube.com/channel/UCL7OvecPUxQ413cFJ0CIosw

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