SNSの登場はZ世代の学生生活をいかに変えたのか 広がるチャンスと強まる同調圧力の同時性

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中村:偏見ですけど、むしろ昭和のほうが同調圧力が強いイメージです。大学に入って、一斉に就職して、転職せずにずっとそこで働いて、みたいな。

だから、そういうところから優れた経営者が出てきているほうが、僕はすごいなって思います。むしろ僕の周りでは転職は当たり前で、「VUCAの時代だから、自分で考えないといけない」という感じですね。サンプル数としてはありえないほど小さいのは承知のうえで、我が強いやつとか、むしろ起業したい、みたいなのばっかりなので。

チャンスを発揮する環境は整っているが…

舟津:今のご指摘はすごく重要だし面白いところでもありますね。たしかに、昭和に比べると、選択肢や手段は今のほうがずっと豊かではあるんですよね。なので、中村さんがおっしゃっているように、少数の飛び抜けた人とか、外れ値的な能力を発揮できる環境にはなってきている。

中村:そうだと思います。

舟津:高校生でもYouTuberになれるっていう話もそうだし、学生起業だってそうです。ほとんどないとはいえ、田舎の高校生がDMを送ってすごいチャンスをもらう、なんてことも可能性としてはある。

中村:友人にいますね。びっくりしたんですけど、九州でそういうチャンスをつかんで起業していました。

舟津:外れ値的な個人に対するフレキシビリティは、ものすごく上がってきている。これは間違いないんですよね。

一方で、真逆のことも起きていて、金沢大学の金間大介先生が本の中で書かれていたこととして、20歳前後ぐらいの人に、「あなたの結果を左右するものは何ですか」とか「社会で成功している人の要因は何ですか」って聞いたら、学歴やコネだと答える人が増えているそうです。つまり、集団帰属的になっている。

だから、学歴やコネに関係なく個人の力を発揮するチャンスが増えている一方で、特定の集団に属すればいいだろうという考えも広がっている。これは同時に起りうることでもあるんですよね。

では、最終回はみなさんのキャリア観や率直に今の社会に求めることについて深掘って伺えたらと思います。

(9月27日公開の第3回に続く)

舟津 昌平 経営学者、東京大学大学院経済学研究科講師

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ふなつ しょうへい / Shohei Funatsu

1989年奈良県生まれ。2012年京都大学法学部卒業、14年京都大学大学院経営管理教育部修了、19年京都大学大学院経済学研究科博士後期課程修了、博士(経済学)。京都大学大学院経済学研究科特定助教、京都産業大学経営学部准教授などを経て、23年10月より現職。著書に『制度複雑性のマネジメント』(白桃書房、2023年度日本ベンチャー学会清成忠男賞書籍部門受賞)、『組織変革論』(中央経済社)などがある。

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