ダンロップ「夏冬兼用タイヤ」で市場激変の可能性 本当に夏冬1本でOKなオールシーズンタイヤ

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また、春の岡山では、夏タイヤ並みのウェット路面のグリップ性能と、静粛性を含めた快適な乗り心地を確認できた。もちろん、乾いた路面でスタッドレスタイヤと比較してみれば、グリップ力は圧倒的だ。

ちなみに夏場の走行フィーリングは、直進性がよく、ゆったりと乗り心地が良いというもの。個人的には、コンフォート向けの印象が強かった。セダンやSUV、ミニバンなどに向いているだろう。

ドライ路面ではコンフォートな印象。グリップ等に不足はない(写真:住友ゴム)
ドライ路面ではコンフォートな印象。グリップ等に不足はない(写真:住友ゴム)

これまでのオールシーズンタイヤにあった、「夏タイヤとしても冬タイヤとしてもそこそこ」という、中途半端な印象を塗り替える試乗体験となった。“次世代”と名乗るだけの性能を備えているといっていいだろう。

なぜ、日本はスタッドレスタイヤが根強いのか?

夏タイヤとしても冬タイヤとしても十分な性能を持つとなれば、日本のタイヤ市場を変革させる可能性もあるかもしれない。

2023年、日本では4704万9000本の市販用タイヤ(乗用車用)が出荷された。そのうちの66.6%が夏用タイヤ(オールシーズンを含む)で3133万2000本、冬タイヤ(スタッドレスタイヤ)が33.4%の1571万7000本となる(一般社団法人日本自動車タイヤ協会:JATMA調べ)。

つまり、全需要のうち、3分の1がスタッドレスタイヤなのだ。それに対して、オールシーズンタイヤは、わずか数%しかないと言われている。ちなみに、北米市場は6~7割がオールシーズンタイヤだという。

シンクロウェザーのトレッドパターン(写真:住友ゴム)
シンクロウェザーのトレッドパターン(写真:住友ゴム)

こうした数字からもわかるように、日本はスタッドレスタイヤが強い市場だ。その理由は、日本の気温にある。日本の冬の気温は、0℃前後を行き来することが多い。その温度域だと、雪が降っても解けやすく、それが凍ってアイスバーンになってしまう。

そのため、凍った路面に強いスタッドレスが強く支持され、凍った路面を苦手とする旧来のオールシーズンタイヤは、あまり売れ行きがよくなかったのだ。

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