日本人逃亡犯語る「フィリピンの劣悪な獄中生活」 スマホもタバコも…刑務所では「金がすべて」
男は現地の警察に逮捕された。最初は不法滞在だったが、フィリピンに長く住む日本人はこう話す。
「最初に捕まえたのは、制服を着た地元の警察だと聞いていますが、地元の警察は金を払えば見逃してもらえると思います。彼はフィリピンで違法の疑いがある投資の仕事をしていたと聞いていますから、タガログ語を使って交渉することもできたはずです」
では、なぜ捕まったのだろうか。可能性として考えられるのは、日本の警察の"強い意志"だ。逮捕の一報が何らかのかたちで、日本の警察当局の耳に入り、当局が男の拘束を強く要請したのではないだろうか。
複数の関係者に取材すると、男は日本とフィリピンにつながりを持つエージェントに何十万円という金を払っていた。エージェントはフィリピンの警察幹部と懇意で、万が一逮捕されても国外退去にならない「お守り」を授けていたというのだ。
実際、男は逮捕されたときに警察署で「オレは警察の幹部を知っている。幹部と連絡を取ってくれ!」と何度も訴えていたそうだ。あまりにも強く訴えるので、逆に逮捕情報が日本の当局関係者にまで回ったのではないか。
自分を守るための必死の行為で墓穴を掘ったのではないかと、筆者は推測する。
「この刑務所から逃げたい」
そもそもエージェントに数十万円の金を払ったのか。男は警察幹部に騙されたのか。エージェントは警察とつながってない詐欺師だったのか。すべてが謎のままだ。
逃亡者の哀れな末路であることは間違いない。フィリピン逃亡中に金だけ取られて殺された日本人もいる。死ななかっただけ、マシなのかも知れない。
男はパラニャーケ刑務所で筆者にこう話していた。
「性犯罪をしたのは事実です。60歳くらいまではフィリピンで暮らして、そのあとに日本の警察に出頭しようと思っていました。でも30代、40代での刑務所暮らしは嫌です。
このままだと日本に移送されてしまいます。その前に、この刑務所から逃げたい。お金があれば逃げられるかも知れません。お金を貸してくれませんか。倍にして返します」
身勝手すぎる言動に辟易とする。筆者は申し出を丁寧に断った。フィリピンの現地報道によると、男は複数の未成年の女性に対して重大な性犯罪を犯したという。8月25日現在、男との連絡が途絶えている。日本移送に向けた準備が進んでいるのかもしれない。
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