「兵庫県知事」の言動に世間が覚えた違和感の正体 職員への異様な要求は"霞が関文化"の副産物か
「(職員に)いろんな報告、連絡、相談は、ちゃんとやってほしかった」と、淡々と振り返った斎藤知事。ある総務省幹部は「霞が関のスピード感でずっと仕事をしてきた知事の立場からすると、兵庫県の職員に物足りなさを感じる部分もあったのかもしれない」と推測する。
もっとも全国を見渡せば、霞が関出身の知事はほかにもたくさんいる。47都道府県中25の県の首長が元官僚で、うち11県が総務省出身だ。
兵庫県では同じく総務省出身の井戸敏三・前知事など、斎藤知事まで半世紀以上も官僚出身者が続くが、「問題がここまで噴出しているのは彼だけ」(総務省OB)。県の関係先に贈答品を求める「おねだり体質」なども指摘される斎藤知事について、個人的資質を問題視する向きも多い。
斎藤知事は、総務省の中でも地方自治などを所管する旧自治省系の出身だった。若手のうちから管理職として、自治体に出向するキャリアを歩むのが一般的だ。斎藤知事も入省7年目で新潟県佐渡市の企画財政部長を経験したほか、宮城県、大阪府に出向し、要職の財政課長を務めた。
前出の松本氏は「(旧自治省は)年上の人を統括する形で地方に行き、帝王学のような教育を受けることになるので、体育会系で、上意下達の文化が特徴だ」と説明する。ある総務省幹部は「若くして、地方で強い権限を与えられることになり、贈答品はもちろん、周囲から特別扱いされるうちに上から目線で傲慢になる役人もいる。斎藤知事は、そのようなタイプだったと聞いている」と話す。
他県知事からは苦労を理解する声も
一方、斎藤知事の置かれた立場に理解を示すような声もある。
総務省出身者が知事になるのは、出向していた都道府県から出馬するようなケースが目立つ。しかし43歳の若さで大阪府の職員から知事に転じた斎藤知事は、兵庫県庁での勤務経験がなかった。
総務省OBで鳥取県の平井伸治知事は8月の会見で、「斎藤さんは大阪府を辞めてすぐ兵庫県に行ったので、県庁の中の意思決定の仕組みなど、いろいろ変えなきゃいけないことがいっぱいあると思う」と指摘。そのうえで、「(5期目の)私の経験からして、1、2期目の辺りはかなりそういう難しさがある。ちょうど今その時期にあり、なかなかコミュニケーションの取り方の難しさに苦労している面もあるのでは」と話した。
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