地球とほぼ同じ構造「金星」実は全然違う環境の訳 表面温度は400度以上、気圧も地球の90倍も!
そのほか、大気の上部では秒速100mにもなる超高速の風が吹いています。なぜこのような強風が吹いているかは、日本の金星探査機「あかつき」によって少しずつ明らかになりつつあります。
金星や水星の過酷な環境を知れば知るほど、地球の豊かな環境が不思議でならないのです。
地球との分かれ道
金星と地球は、ほぼ同じ大きさと密度を持っています。そのため「双子の惑星」と呼ばれてきました。しかし、地球には海があり、生命が存在するのに適した温度に保たれている一方で、金星は灼熱で、生物が住むのに適した環境ではありません。
2つの惑星は、どうしてこれほどまでに異なる環境になったのでしょうか。そこには、太陽からの距離が関係しています。金星は地球よりも4200万㎞ほど太陽に近く、この差が2つの惑星の分かれ道となりました。
誕生したばかりの頃、金星も地球もどちらも惑星全体がドロドロに溶けたマグマオーシャン(マグマの海)の状態でした。そしてどちらの惑星にも、大気中には水蒸気の状態で水が存在していました。しかし、太陽と距離が近い金星では、あまりの高温により水蒸気が液体の水になれなかったと考えられています。
一方で、地球では液体状態で水が存在することができ、海ができました。また、金星にも存在した二酸化炭素の大気が海に溶け込むことで、今のような生命豊かな環境になったのです。
金星の表面温度は400度以上、気圧も地球の90倍と高圧ですが、地面に着陸することなく、上空から電波を使うことで表面の地形を調査することができます。
1989年に打ち上げられた探査機「マゼラン」は、このような方法で金星の地形のほぼすべてを調べ上げました。その結果、標高1万m 以上の山や大きな火山、さらには大陸といった、地球と似た地形が存在していることがわかりました。また、巨大隕石衝突の跡や地滑りが起こった様子なども観測されています。
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