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日本の政治に「経済政策」などというものはない 経済政策の終焉か、政治そのものの終焉か?

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  • 小幡 績 慶応義塾大学大学院教授
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競馬である。

本連載で、私は競馬に関して外部者かつ素人ながら、いくつかの提案をさせてもらった。なんと驚くことに、その多くが、あのJRA(日本中央競馬会)のカリスマ調教師である矢作芳人師の意見と、ほとんど一緒だったことが判明したのである。例えば、世界の競馬ニュースなどが掲載されている競馬専門サイト「アイドル ホース」の記事を見ていただければと思う。

個人的にはうれしくてたまらないが、そういう問題ではなく、私にもわかるような明らかな問題点が現在のJRA競馬にはあるということだ。これだけ馬券の売り上げもあり、大ブームに乗っている今こそ、改革をする最後のチャンスである。JRAおよび各関係者には、ぜひとも英断をお願いしたい。

今後の日本競馬に最も重要なものは何か

今回の本編の経済政策論とも関係するが、日本競馬の成長戦略を考えるうえで最も重要なことは「日本競馬にとって何が最も重要か」という認識を確認することである。

そもそも、競馬において何が最重要なのか。それは優秀な馬の生産である。これに尽きる。レースはあくまで、生産すべき馬、残す血を探すために行っているのであり、同時に育成も、その才能をあまりなく開花させ、どのような馬を生産していけばよいかということを知るために行われるのである。

具体的には、日本競馬は世界に生産馬を売っていかなければならない。それも、高く売らなくてはいけない。

競馬がすばらしいのは、資本主義の権化のような産業で、高く売れることがその後の血を残すことに直結するからである。高く売れれば、その馬は良いオーナー、良い育成牧場、良いトレーナーに恵まれ、レースでも良いジョッキーがあてがわれ、その結果レースに勝てば、繁殖に上がり、良い配合相手に恵まれ、だから子供も走ることになり、孫もたくさん生まれることになるのである。

毎秋に行われるフランスの国際G1、凱旋門賞を勝つことが重要なのは、欧州のオーナーたちにさらに日本生産馬を高く売るために必要なのである。矢作師がアメリカの競馬を重視し、マルシュロレーヌで2021年にブリーダーズカップディスタフを勝ったのも、欧州偏重の日本の生産界に対して「アメリカ市場でも高く日本生産馬を売らなくてはいけないよ、そして売れるよ、そしてアメリカの生産は合理的でフェアで、世界的な広がりがあるよ」と知らしめたのである。

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