ライオンCM「警告音に似ていて物議」が必然のワケ 「テレビCMの音」の重要性は年々増している
映像は「見ない」という選択肢もありうるが、音は「(聞きたくなくても)聞こえてくる」ものだ。視聴者の注意を引くために、音は重要な役割を果たすが、デジタル時代の現在では、音の重要度はさらに増している。
今回のライオンのCMでも、視聴者を引きつけるために、あの効果音を採用した可能性はある。ただし、「Jアラート」の音を意識したということは考えにくい。そのような誤認が起きる可能性があることが事前にわかっていれば、効果音として活用することはなかったはずだ。
一方で、「音が似ている」と言っても、警告音とそっくりなわけでもないので、事前に気づかなかったということは、十分に想定できる。
アナログ放送時、放送休止中に流れていた砂嵐を覚えているだろうか。あの音に滝の映像を合わせたものと、本物の滝の映像とでは区別できないという実験もある。今回のCM制作側も、風船の映像とセットにして聞いているから、風船の膨らむ音として刷り込まれてしまっていたのかもしれない。
「音」をめぐる快、不快の境界線はどこか
媒体料金(広告を出すために支払われる料金)は同じだから、CMを放映する企業としては、より多くの視聴者の注目を集める表現にしたい。一方で、それが過剰になってしまっては、視聴者が不快に感じ、批判を浴びて逆効果になる。そのバランスが非常に難しい。
例えば、CMの中にスマホの着信音や、玄関のインターホンの音を入れると、視聴者の注意を引くことはできる。実際にそのようなCMもある。その反面、視聴者から「紛らわしい」と思われる可能性も高い。
そこまででなくとも、耳に残る音は注意を引くだけでなく、記憶に残すこともできる。
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