ライオンCM「警告音に似ていて物議」が必然のワケ 「テレビCMの音」の重要性は年々増している

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筆者自身、広告会社に勤務していた8年前までの数年間、SNSでテレビCMの話題を調べる仕事をしていたことがあるが、音に関する批判は少なからず見られた。例えば、「商品名(あるいは企業名)を連呼するのがウザい」「BGMが嫌い」といったようなものだ。

単純に「不快だ」という意見であれば、取り下げも修正も行わず、そのまま放映を続けることが多い。ただし、今回の場合は、視聴者が警告音と誤認する可能性があることを考えると、放映中止を決定したことは適切であっただろう。また、指摘を受けてすぐに対応を行った点も良かったように思う。

一方で、「なぜ事前に気づかなかったのか?」という疑問も残る。実際に、ネット上にはそうした意見も見られた。

「事前に気づくべきだった」というのは正論だが、一方で、チェックし切れなかった状況も理解できる。

「音」が重要な時代になった

以前から、テレビCMの放映時間は「トイレタイム」と呼ばれていた。つまり、番組の合間にトイレに行く時間という意味だ。トイレに限らず、テレビCMは、視聴者が集中して見ていないことを前提に、「いかに視聴者の注意を引くか?」ということに注力してきた。

ちなみに、「広告」は英語で「Advertising」というが、ラテン語の「~の方向へ(英語のto)」を意味する“ad”と、「向ける」という意味の“vertō”を語源とする。つまり、「振り向かせるのが広告」ということである。

デジタル技術の進化によって、個人の嗜好やニーズに合わせた情報発信が可能になってはいるが、興味がない人にも振り向いてもらい、興味を持ってもらうことが、依然として広告の重要な役割だ。

現在では、スマホが普及しており、CMの時間帯は「スマホタイム」になっている。さらに、コロナ以降は在宅勤務も一般化し、仕事中にテレビがついていることも増えてきた。そうした人たちの注目を引くことも重要になっている。

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