ゆうちょ銀、限度額引き上げめぐる激しい攻防 頑なだった民間ライバルも徐々に軟化?
個人の属性は明示されていないが、「郵便局長として意見する」「小さな町の郵便局長をしております」「兵庫県内3名局の過疎地の局長です」「私は今年58歳になる郵便局長です」などと、意見の中で記しており、郵便局長によるものが少なくない。郵便局は2万局以上あり、日本最大のコンビニであるセブン-イレブンの店舗数(約1万8000店強)を大きく上回る。その組織票の力は強い。
一方、50の団体の意見は分かれる。上述した金融機関団体や郵政関連団体のほかは、地方自治体や地方商工会がほとんど。その内容を分類すると、限度額の引き上げや撤廃、業務拡大を求める団体が22。反対あるいは慎重な検討を求める意見の団体が28だった。
和歌山県日高川町長や新潟県南魚沼市長、島根県飯南町長、愛知県豊根村長など、自治体の長は、総じて限度額の引き上げ・撤廃を主張している。
商工会議所も意見が二分
興味深いのは、商工会議所の意見が二つにわかれている点だ。北海道三笠市商工会は「地域金融システムに悪影響を与えることのないよう、慎重に検討を行っていただきたい」とする一方、同じ北海道の夕張商工会議所は「人口の流出がおこり、高齢者率も45%以上となっております。地域住民の利便性を考えていただき、他の金融機関と同様に限度額の撤廃をお願いします」と、限度額の撤廃を要望している。
ただ、各地の商工会議所をまとめる全国組織・日本商工会議所が「慎重に対応する必要がある」と求めているだけに、大半の商工会議所は引き上げに慎重だ。愛知県の稲沢商工会議所は「貯金の上限が撤廃されれば、地元の、特に信用金庫にとってお客を奪われる脅威となり得る」、京都府の綾部商工会議所は「本地域における唯一の信用金庫においては、預金シフトは避けられず」と、信用金庫への影響を懸念する。
引き上げを要望しているのは、先に挙げた北海道の夕張のほか、同じ北海道の阿寒町商工会と標茶町商工会、鹿児島県の薩摩川内市商工会ぐらいだ。
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