「新iPhone」は、現行モデルと何が変わるのか 感圧タッチが目玉機能になる可能性

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今回の招待状のテーマとなったSiriは、既にiPhone、iPod touch、iPadのiOSデバイスに採用され、Apple Watchもサポートしている。Apple TV、Macが非対応であるが、今回期待されているのはApple TVのSiri採用だ。

Apple TVについては、プロセッサの強化、4K対応、スマートホームを含むIoTのサポートなど、数年分のテクノロジーの進化を踏襲する進化が今回期待されている。またここに含まれる「4K」は、iPhoneの動画撮影機能や、iMac 21.5インチがRetina化した際の解像度など、キーワード化することが期待できる。

iPhoneの好調は続くか?

iPhoneは今回のモデルも好調な売れ行きを示すだろうか。結論から言うと、世界のハイエンドスマートフォン市場において、iPhoneの好調は、2015年の後半から2016年にかけても続いていくと考えている。

ただ、世界のスマートフォンの成長速度に減速がかかれば、シェアが変わらないとしても、最も大きな販売台数の落ち込みを記録するのもまた、アップルだろう。

アップルのiPhone発表イベントを前に、懸念されるのは中国経済の減速だ。アップルはiPhone 6シリーズの販売台数で、前年同期を更新し続けてきた。その原動力となってきたのが中国市場での成功であったが、その中国を発端とした世界同時株安など、不安定なマーケットの展開が続いている。

アップルもそうした世界のトレンドと、アップルと中国市場との関わりの深さから、130ドル近辺だった株価が100ドルを割む場面が見られ、不安が拡がっている。Tim Cook CEOがテレビのニュースに直接メールを送り、中国でのセールスが好調であることを明かして事態を沈静化させる珍事まで起きた。

また、販売形態についても、変革が進んでいる。米国では、T-Mobileに続いて、VerizonもiPhoneの端末価格の割引販売をやめる新しいプランを発表した。

これまで199ドルで購入できたiPhone 6 16GBは、450ドル分の2年契約を前提とした割引がなくなり、購入者は649ドルを負担することになる。そのため、初期コストを抑えるべく、分割払いや、下取りを前提としたリースなどの新たな選択肢を用意しはじめた。しかしいずれにしても負担増は免れない模様だ。

日本でもSIMフリーの義務化が進んでおり、新型iPhoneも、SIMフリー化絡みで販売形態や価格の変更があるかどうか、見極める必要がある。いずれにしても、ユーザーの負担額が高くなれば、これまでのような販売台数の積み上げに水を差すことになる。

今回の新型iPhoneは、アップルが世に送り出す製品そのものというより、外部の市場環境や販売形態などによる影響の方が大きいのではないか、と考えている。いずれも外部の不確定要素の増大は、iPhoneにとってのリスクが増すが、アップルがコントロールできるわけでもないだろう。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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