零細企業が駐車場事業で大手参入を退けた理由 資本金5万円で創業のakippaは楽天にどう対抗したか

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会社の規模が大きくなるときは、組織内のいろいろなバランスが崩れるときでもあります。一時的にひずみが生まれることもありますし、会社を去っていく人も出てくるかもしれません。

しかし、akippa社には長く働いてくれている人が大勢いて、みんなが支えあっています。そのあたりもアキッパの強さの理由だと思っています。

楽天グループに勝つというジャイアントキリング

楽天グループ、リクルートグループ、ソフトバンクグループ、ドコモグループ、光通信グループが、アキッパと同様のサービスを始めた際に、私たちから見て脅威だったのは楽天グループです。

楽天グループは、楽天の各種サービスで使える「楽天ポイント」を武器に、「楽天経済圏」を築いています。何千万人といる会員たちがユーザーになれば、アキッパは一瞬で追い抜かれてしまうかもしれません。

『番狂わせの起業法』(かんき出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

しかし、実際にやってみるとそれほどうまくいかなかったようです。参入してきた大手テックカンパニーは現在までにすべてサービスを終了しました。

このビジネスは、駐車場の数が勝負です。ユーザーにとっては、使える駐車場がたくさん登録されているほど便利です。

駐車場がたくさん登録されていると、「このサービスは使いやすい」と評価が広がっていき、ユーザーが集まりやすくなります。ユーザーが集まれば駐車場オーナーが儲かるようになるので、駐車場を貸し出してくれる駐車場オーナーがさらに増えていきます。このようなサイクルを「ネットワーク効果」と言います。

アキッパのような売り手(駐車場オーナー)と買い手(ユーザー)の両方を引き合わせるビジネスは、売り手の数が多くないと大きく成長させることが難しいのです。

私たちは、駐車場オーナーに直接営業して、契約をとってきてもらうための駐車場開拓代理店システムを全国につくり、泥臭いことを徹底してやりきっていました。その部分で、他社を圧倒してきたところがあると自己分析しています。

また、「駐車場がどこにあるか」も重要です。人が移動をするときには、絶対に「目的地」があります。自動車での移動の場合、駐車場というのは目的地に至るまでの「経由地点」ですから、目的地の近くにないと使ってもらえないのです。

「あのアプリを見れば絶対に目的地のそばに駐めるところが見つかる」というぐらい駐車場が密度高くあるかどうかで、ユーザーがサービスの善し悪しを判断します。目的地から遠いところにポツリポツリとある程度では、誰もそのサービスを使いません。

私たちは各地に人員を投入し、粘り強い駐車場開拓活動を通じて「目的地のそばに駐車場がある」という状態をつくりあげたのが、大手テックカンパニーに打ち勝った要因だと思います。

サッカーでは、弱小チームが強豪に勝つような番狂わせを「ジャイアントキリング」といいます。私たちの「ジャイアントキリング」はまさにこのとき起きたのでした。

金谷 元気 akippa創業者兼代表取締役社長CEO 

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かなや げんき / Genki Kanaya

1984年生まれ。駐車場シェアリングサービス「アキッパ」を運営するakippa株式会社の代表取締役社長CEO。高校卒業後から4年間はJリーガーを目指し関西サッカーリーグでプレー。サガン鳥栖やザスパ群馬(当時のザスパ草津)の練習生にもなったが、プロ契約ならず22歳で引退。2009年に24歳で会社を設立。 

X:@genki_kanaya 

Instagram:@genki_kanaya 

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