そこでセリアの有価証券報告書(2023年4月1日から2024年3月31日)を見てみよう。ここで面白い記述があるので引用する。
本文中にある、「収益性」とは利益のことではなく売上等を指すから、規模が上限にきていると危機感を持っているのは明確だ。だから各社とも他価格帯に手を伸ばしている。そのうえで、自社は拡大せずに100円のラインナップを充実させたほうが、100円にかぎって他社からシェアを奪取できるとしている。
なるほど、これは単純に差別化戦略といってもいいし、「Focused Cost Leadership Strategy(特定価格リーダーシップ戦略)」に特化したものと評価できるだろう。
次に、業績と出店・閉店の実態を見てみよう。
2023年3月期
売上高:2123億円、営業利益:154億円
2024年3月期
売上高:2232億円(前年比+5.1%)、営業利益:151億円(前年比▲2.1%)
2023年3月期
出店:132、退店:47
2024年3月期
出店:133、退店:71
以上の状況だ。
セリアの経営は失敗しているか?
ところで、セリアの経営を問題視している人たちは、利益が減少していることを問題視しているらしい。さらに、退店が昨年を上回るペースで進んでいることも指摘している。
しかし、それらの指摘については「はあ……」という感想しかない。営業利益率は6.7%出ている。なお、同業者でいえばキャンドゥの2024年2月期は営業利益率が0.3%だった。さらにワッツの2023年8月期は1%だった。ここから見ても、一部が騒ぐほどセリアに問題があるようには見えない。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら