暴力団排除条例と建設業界、もはや許されぬ“脇の甘い行為”
今、あるゼネコンの有力者には、身辺警護のため、SP(要人警護官)が付いている。警察からも、行動には十分注意するよう、要請されているという。
2011年10月から東京都と沖縄県でも施行され、これで全都道府県の足並みが揃った「暴力団排除条例」--。暴力団そのものを規制する「暴力団対策法」とは異なり、企業や市民が暴力団員と交際したり、利益を提供したりするのを、禁止するのが狙いだ。社会全体と暴力団との決別とも言える。
だが、「どこまで違反か」「何がセーフで何がアウトか」、また「相手が暴力団関係者か調べようない」など、適用対象が必ずしも明確でないことに戸惑っている、との指摘もある。
次は暴対法改正か
建設業界を見渡すと、一部地域では発砲事件が相次ぎ、いずれも暴力団の犯行と見られるものの、いまだ解決していない。受注工事を巡って、業界として毅然とした態度で暴力団排除に取り組んできたが、事態は悪化する一方のようだ。
先の10月には、東急建設に取引停止された腹いせで利益供与を要求した工事業者が逮捕されるなど、一筋縄ではいかない現実も横たわっている。一部では、「防弾チョッキを着用して現場作業をしている」(業界関係者)とった、笑えない冗談も漏れ伝わってくる。
もちろんこれは、建設業に限った話ではない。警察庁では暴対法改正に向けて、有識者会議を発足。建設や銀行、証券業界には「委員を1人ずつ出してくれ」と、警察側から頼まれたという。