ハーバード、イェールに学ぶラクラク投資術 あの名門大学は「超優良機関投資家」だった

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投資家としてもっとも避けたい事態の典型例は、たとえば2008年の金融危機のような状況で一時的な時価評価損失(「ドローダウン」とよびます)が発生した際、それ以上のリスクに耐えきれずに損切りしてしまうことです。

あくまで結果論ではありますが、翌2009年にはそれまで極端に売り込まれていた多くの資産価格がV字型の回復を果たしました。それまでの投資方針を堅持して耐えた投資家は、十分に回復し、おつりがきました。

さらに、資産配分を維持するという投資方針を守って逆張りの買い増し(「リバランス」とよびます)を行った投資家は、大きな収益機会をつかむことができたのです。その代表格が、ウォーレン・バフェットのバークシャー・ハサウエイであり、イェール、ハーバードなどのエンダウメントといえるでしょう。

個人投資家こそ実践してほしい「エンダウメント投資」

大きな組織の中でチームとして運用している場合、こうしたことを十分理解していたとしても、予め定めた「健全な」リスク管理ルールに従って、機械的にリスク削減を行うのが最新のリスク管理手法です。市場参加者がみな「市場は行き過ぎだ」「安いものが売られすぎだ」とわかっていても、安いものを底値でみな一斉に売らざるを得ないという状況が生じることがあるのです。

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さらには、こうした損切りとは逆に、うまく利益が乗ってきたときに早すぎる利食いをしてしまうことも長期投資にとっては大きな敵です。毎年、目標のリターンを求められるような機関投資家の場合、利益を確保しておこうという行動に出るのは仕方がない面もありますが、エンダウメントは償還期限・運用期限のない運用なので、毎年一喜一憂することをしないのです。これがエンダウメントの最大の強みといえるでしょう。

次回は、エンダウメントが行っている5つの投資行動について、ご紹介したいと思います。そして、その5つの行動を理解した個人投資家の方に、エンダウメントが行っている投資の考え方を応用し、ぜひ高い運用実績を挙げてほしいと思います。

「ハーバードやイェールがすごいのはその通りかもしれないが、個人投資家に同じことは無理だろう」と思われるかもしれません。その通り。たしかに、つい最近まで、個人投資家がエンダウメントのような運用を行うことは不可能でしたが、金融技術の発展と金融危機後の金融業界の変貌の結果、それが可能になってきたのです。

ただ、エンダウメント投資戦略は規格化された定型の金融商品ではありません。それはむしろ、長期投資の枠組み(フレームワーク)あるいはプロセス全体を指しています。しかし、その中には個人投資家のみなさんが利用できる有意義なヒントが少なくないのです。

(第2回に続く)

山内 英貴 GCIアセット・マネジメントCEO

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やまうち ひでき

やまうち ひでき 1963年生まれ。日本興業銀行でトレーディング・デリバティブ関連業務に従事した後、2000年4月に独立し、ヘッジファンド運用に特化した資産運用会社グローバル・サイバー・インベストメント(現GCIアセット・マネジメント)設立。2007年4月より東京大学経済学部非常勤講師。主な著訳書に『LTCM伝説』(共訳:東洋経済新報社、2001年)、『オルタナティブ投資入門(第3版)』(東洋経済新報社、2013年)がある。

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