タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密 --ヨーロッパから来た楽しいコミック《宿輪純一のシネマ経済学》
つまり、今回の映画の中では、実際の発音や、英語の表題など平仄の面からは、邦題は「ティンティンの・・・」とすべきであろうか。しかし、そもそも「タンタン」で一応、名が通っていること、そして日本語の微妙な問題がありそうで、「ティンティン」にはならないのだろう。
また、相棒スノーウィは実は国によって名前が違い、英語圏と日本語では、白いところから、スノーウィとなっている。ドイツ語ではシュトルッピー、中国語では白雪(!)となっている。原書ではミルゥ(MILOU)となっており、またまたベルギーの友人に聞くと、それはどうも日本語の「ポチ」みたいなものらしい。
さてストーリーであるが、16歳の設定の少年記者タンタンと愛犬スノーウィは、ある日、ノミの市で、ガラスケースに陳列されていた帆船の模型に魅了され購入する。ところがその直後から、彼は見知らぬ男たちに追いかけ回されるハメになる。
何とその船は400年前の17世紀に海賊の襲撃によって消息を絶った伝説のユニコーン号で、模型のマストにはある暗号が記された巻物が隠されていた。そして、現在港に停泊中の貨物船カラブジャン号が一連の襲撃にかかわっていることを突き止め、単身乗り込むことになる。
カラブジャン号の船長のハドック船長は頼もしい海の男で、タンタンのよい理解者となり、一緒に冒険の旅に入っていく。彼は口の悪さは、船乗り一で、「ビックリ、ふじつぼ!」などとよくわからない洒落みたいなことをひんぱんに言う。
ベルギーはヨーロッパの中心に位置するので、「ヨーロッパのへそ」ともいわれる。首都ブリュッセルにはEU本部もある。ベルギー自体もゲルマン系とラテン系の住民が住んでいる。最近の欧州債務危機も、まさにゲルマン系の国とラテン系の国の違いが際立っている。