祖父母が知らぬ「赤ちゃんの最新アレルギー対策」 昔とは全然違う「スキンケア・離乳食」新常識

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この結果を受け、それまで予防的除去を勧告していた国々でも急激な方針転換が行われた。家庭や地域社会で日常的に食されている食材の場合、乳児期には皮膚からの侵入を防ぎつつ、なるべく早いうちから離乳食に取り入れることが大事だと考えられている。

ただし、離乳食を始める前の生後数カ月の間にもうアレルギー感作が起きてしまっている可能性もあるため、最初はごく微量から様子を見ていくことが望ましいという。

新しいアレルギー治療薬も開発されている

すでにアレルギー性疾患を発症した子供たちに対する治療も、ここ十数年ほどの間にいくつもの変化を迎えている。

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2020年にアメリカで承認されたピーナッツアレルギー治療薬、パルフォルツィアは、脱脂ピーナッツ粉を用いた経口免疫療法薬だ。口から毎日服用し、規定の方法に従って用量を上げていくことで、体をピーナッツのタンパク質に慣らしていく。食物アレルギーの「根治療法」ではないものの、4歳以上の患者を対象にアメリカ、EU、イギリスなどで用いられている。

また、アトピー性皮膚炎や喘息などに対する非ステロイド系の治療薬として、炎症のコントロールに関わるヤヌスキナーゼ(JAK)阻害剤薬や、アレルギー性の炎症反応だけを狙い撃ちするモノクローナル抗体薬などが、高額ながらも使用が広がりつつある。

めまぐるしく変わる子供のアレルギー対策に、戸惑いや世代間ギャップを感じる親御さんもいることだろう。だが、健康への取り組みは時代とともに変化するもの。思い込みや先入観を持ちすぎず、その時々の状況に向き合ってみることが大切なのかもしれない。

坪子 理美 英日翻訳者

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つぼこ さとみ / Satomi Tsuboko

英日翻訳者。博士(理学)。東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻博士課程修了。

訳書に『アレルギー:私たちの体は世界の激変についていけない』(東洋経済新報社)、『悪魔の細菌:超多剤耐性菌から夫を救った科学者の戦い』『カリコ博士のノーベル賞物語』(中央公論新社)、『クジラの海をゆく探究者〈ハンター〉たち:『白鯨』でひもとく海の自然史』『なぜ科学はストーリーを必要としているのか:ハリウッドに学んだ伝える技術』(慶應義塾大学出版会)、『CRISPR〈クリスパー〉ってなんだろう?:14歳からわかる遺伝子編集の倫理』(化学同人)など。

共著書に『遺伝子命名物語:名前に秘められた生物学のドラマ』(中公新書ラクレ、石井健一との共著)、寄稿書に『アカデミアを離れてみたら:博士、道なき道をゆく』(岩波書店)など。

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