【産業天気図・ビール/飲料】第3のビールで明暗。飲料は悪天候に泣く

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2006年12月期のビール業界の天気は「曇り」。ビール大手4社の明暗を左右するのが第3のビールだ。まず、絶好調なキリンビール<2503.東証>は、昨年4月に発売した第3のビール「のどごし〈生〉」がフル貢献。6月からの酒税改正で増税となった影響も受けずに数量を伸ばし続けている。また、発泡酒も今年発売した「円熟」などが好調で、プラスを確保している。主力のビールも下げ止まった感が見られる。
 対するアサヒビール<2502.東証>は正念場を迎えている。第3のビールでは「新生3」の苦戦を受け、今年5月に新製品「ぐびなま。」を投入。それ以降は堅調に数量を伸ばしている。主力の「スーパードライ」もまずまず。しかし発泡酒の大幅な落ち込みが足を引っ張り、ビール系の販売シェアを落としている。上半期の苦戦を踏まえ、10月には第3のビール「極旨(ごくうま)」、発泡酒「贅沢日和」を投入して巻き返しを図る計画だが、新製品だけに数量が見えにくい。通期でもキリンビールにシェアを逆転される可能性が濃厚になっている。
 サッポロビール(サッポロホールディングス<2501.東証>傘下)も苦戦を強いられている。発泡酒の新製品「雫〔生〕」は堅調だったが、主力の第3のビール「ドラフトワン」の上半期販売数量が前期比23%減と振るわない。プレミアムビール「エビス」もサントリー<非上場>の「プレミアムモルツ」に押され、伸び悩んでいる。会社側は9月に新「ドラフトワン」を発売、プレミアムビールもテコ入れする計画だが、通期でのシェア低下は避けられそうにない。
 清涼飲料業界の天気も「曇り」。長梅雨の影響で業界全体が微減となっている。特に、天候に左右されやすい自販機販売比率の高いコカ・コーラウエストジャパン<2579.東証>やコカ・コーラセントラルジャパン<2580.東証>、四国コカ・コーラボトリング<2578.東証>、北海道コカ・コーラボトリング<2573.東証>などは、主力製品の苦戦で軒並み減益。ダイドードリンコ<2590.東証>も、広告販促費の増加に加え、自販機販売が落ち込み、減益幅が拡大する見通しだ。
 この状況下で健闘しているのがアサヒ飲料<2598.東証>で、茶系飲料やコーヒー、「三ツ矢サイダー」などを手堅く伸ばしている。伊藤園<2593.東証>も前年の緑茶戦争の反動で伸び幅は縮小したものの、新製品効果もありプラスを維持している。上場廃止となったキリンビバレッジも、ミネラルウォーターや紅茶が牽引して好調だ。ヒット商品が不在の中、既存ブランドを手堅く伸ばせるかが清涼飲料業界の明暗を分けている。自販機販売比率の高い缶コーヒーが主力のメーカーは苦戦を強いられている。
【前田佳子記者】


(株)東洋経済新報社 会社四季報速報プラス編集部

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