優れた子育てには、科学的な裏付けがある 根拠の無い通説や思い込みを排除しよう

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賢い子は放っておいても勉強するものだと自主性に任せて放っておいたら、恥ずかしながらわが家の息子はまったく勉強しなかったことでしょう。他人の成功例を真似て強要せず、中学生になるまでにニンジン作戦を遂行できたのは、正解でした。

レベルの低い自画自賛談になりましたが、要は根拠の無い通説に惑わされることなく子どもの性格をいちばんよく知る親が、子どもの個性に合わせた教育法を研究し、実践するべきだということです。「知らないともったいないこと」の中には、世間の常識や他人の成功例から外れていても、気にすることはないです。

本書を読んで、ともかく学力が高い子弟が集まる伝統ある進学校に、息子をなだめてすかしてでも勉強に向かわせ、入学できたのはよかったと、改めて感じたことでした。その成果には問題が残るとしても、「レベルの高い同級生が勉強している」という環境が整っていなければ、もっと問題が山積したことは、想像に難くないことですから。

(なお、ここでいう「レベルの高さ」とは、学力などのいわゆる「認知能力」だけでなく、向上心や忍耐力、継続力、モチベーションといった「非認知能力」も「レベルの高さ」に含まれています。)

褒め方を間違えれば単なるナルシストに

「知らないともったいない」科学的根拠に基づく教育法が、ほかにもたくさん示されていて、目からうろこが沢山落ちました。

「子どもはとにかく褒めて育てよ」は、今や日本では常識です。人によっては、母親は女優のように演じてでも、子どもを褒めよと教えてくれています。子どもが自尊心や自信を持つと、さまざまなことにチャレンジする子に育つという理由です。

「実験」では、(褒めて育てることを否定しているわけではありませんが)むやみやたらな褒め方は、実力を伴わないナルシストを育てることになりかねないと示しているそうです。これは高1で成績がよかった生徒は高3で自尊心が高かったが、高1で自尊心が高かった生徒が高3で成績がよかったわけではないと、研究などで説明されています。

つまり「どのように褒めるか」も重要なポイントで、「頭がいいのね」と、子どものもともとの能力を褒めるのは、やる気をむしばむのだそうで、「よく頑張ったね」と努力した内容を褒められた子が、成績を伸ばしたそうです。親が俳優になって子どもを褒めるのは禁物でした。

私は「子どもは褒めて育てるべき」という言葉を教条的に受けて、信じられないほど子どもが何かをする度に大げさに褒める親と、それを喜ぶ子どもを何組も見てきました。何か本心とか真心といったものが置き去りにされた、芝居をしている親子の会話に聞こえて違和感がありました。

この違和感は、子どもに反省する機会を奪ったり、根拠のない自信をもたせることにつながるという本書の指摘で、「やはり効果がないのだ」と、私の腑に落ちました。

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