第三に、包括的利益分配制度の実効性を上げるためには「労使協議会」を設立する必要があるが、連邦法ではこれが難しい。ただ朗報もある。米国自動車労働組合は最近、テネシー州にあるドイツ所有のフォルクスワーゲン工場において、団体交渉権を求め続けながら労使協議会を立ち上げるために経営陣と協力している、と発表した。
四つ目の障害は、利益分配制度には企業文化の根本的な転換が必要なことである。経営幹部や株主は依然として労働者をコスト要因としてしか見ていない。人件費の削減と異なり、従業員のやる気の向上や離職率の低下による恩恵は、測定が困難で不確実だ。また、役員報酬の主要な決定要因である1株当たり利益に直接的な影響を与えづらい。
分配制度の普及を促すにはどうしたらいいか
企業は賃金を課税所得から控除できる。ただし上位5人の幹部については、業績連動給以外の賃金の控除額は年間100万ドルが上限となっていることもあり、ストックオプションなどの報酬が幹部のみに与えられることに拍車がかかった。だから、業績連動給に対する税控除を、利益分配制度を持つ企業だけに限定するよう求める者もいる。
米国大統領候補クリントンは、2年間で労働者に対して企業が分配する利益の15%分を税額控除するよう提案している。今こそ、より強力でより公平な成長を促進するための手立てを採るべき時である。
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