日本株の「本当の買い時」が近づいている カギを握るのは、9月にかけての原油相場

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世界の原油価格のベンチマークとなっているブレント原油の過去の動きを振り返ると、非常に興味深い傾向がある。

原油価格は需要の季節性の影響もあり、年初に安く、夏場から秋口に高値をつける傾向があるのだ。特に1年間のうち、安値を付けた回数が最も多いのが1月である。

一方、夏場である8月・9月には年間の安値を付けた実績がない。さらに第4四半期(10~12月)に年間の安値を付けた回数は非常に多い。ちなみに、今年のここまでの安値は1月につけている。

原油相場は9月にかけて、重要な局面を迎える

したがって、過去の傾向を踏襲するのであれば、8月・9月に1月安値を更新せずに反転する可能性が高いことになる。逆にもし1月安値を8月・9月に更新するようであれば、原油価格は第4四半期にさらに安値を更新し、下値を切り下げることになる。

このように考えると、今月から来月に原油相場はきわめて重要な局面を迎えることになる。筆者は現時点では、ブレント原油が今年1月につけた安値を下回るとは考えていない。

その結果、日米の消費者物価は前年比で9月ごろに底打ちし、反転に向かうだろう。同時に、有力とみられている9月の米利上げが実施され、これを織り込む過程でドルはピークアウトし、ドル建て原油価格が反転・上昇に転じ、これが様々な市場に好影響を与えるだろう。

このような動きが鮮明になれば、日本株にも好影響があるだろう。原油安によるコスト低減効果よりも、いまはインフレ期待を引き上げることが肝要であり、原油などの資源価格の上昇は、現状の市場環境においてはむしろ歓迎すべきだろう。

一方、バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチが実施した8月のファンドマネジャー調査の結果も興味深い。これによると、新興国市場やコモディティをアンダーウエートとする割合が、過去最高の水準に達したというのである。これらは、コモディティ市場はまさに「陰の極」に近づいていることを示していると筆者は理解している。

こうしたことから、今後1週間の日経平均株価は2万円~2万0750円の値動きを予想する。原油安・米利上げを織り込むまでは、引き続き耐える時間帯が続くだろう。

いまは特に中国株や欧州株に割安感があると思うが、日本株にもそろそろ買いが戻ってきてもよいころだ。総じて売られすぎたアセットクラス(資産の種類)には、長期的な投資機会が到来しているように感じられる。

江守 哲 コモディティ・ストラテジスト

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えもり てつ / Tetsu Emori

1990年慶應義塾大学商学部卒業後、住友商事入社。2000年に三井物産フューチャーズ移籍、「日本で最初のコモディティ・ストラテジスト」としてコモディティ市場分析および投資戦略の立案を行う。2007年にアストマックスのチーフファンドマネージャーに就任。2015年に「エモリキャピタルマネジメント」を設立。会員制オンラインサロン「EMORI CLUB」と共に市場分析や投資戦略情報の発信を行っている。2020年に「エフプロ」の監修者に就任。主な著書に「金を買え 米国株バブル経済の終わりの始まり」(2020年プレジデント社)。

 

 

 

 

 

 

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