「洋上風力汚職」で風力発電協会の残念すぎる検証 検証委員の1人は「秋本議員に個人献金」の過去

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

同委員会は、JWPAの意思決定および活動のあり方について問題点を検証することを目的に掲げ、「贈収賄事件は検討事項ではない」(JWPA広報)とした。ただ報告書では秋本議員との関わりについても紙幅を割いている。

そこでの結論は「違法性はない」。秋本議員とは交友関係を築いてきたが、JWPAから国会で質問をしてくれるように働きかけた事実は確認されなかったとする。秋本議員のほうから、風力関係の質問をするので質問事項を提出してほしいと要請を受けて対応したときも、なんらかの利益を供与した事実は確認されなかったという。

そのうえで贈収賄事件については、検察の起訴によって協会が潔白だということは明白になったと主張。「特定の会員企業に経済的・人的に依存していたことが特定企業の発言力の大きさにつながった可能性がある」と指摘している。

秋本議員とJWPAとの関係に不適切なものはなかったというわけだが、検証委員会による検証範囲はきわめて狭い。

洋上風力汚職の構図

どのような過程で日本風力開発が影響力を強めていったのか。日本風力開発の元社長が自らの思惑を通すためにJWPAに働きかけることはなかったのか等については触れられていない。一部幹部の“暴走”についてもなぜチェック機能が働かなかったのかという視点が弱い内容になっている。

2020年の昼食会での「秋本発言」

2021年12月末、大型洋上風力の事業者公募において、三菱商事などの企業連合が3海域のプロジェクトを独占し「総取り」した。それ以前の動きも検証の対象になっていない。

事業者公募の結果が出た後、JWPAは直ちに入札ルールを変更すべきだと提言。呼応するかのように秋本議員は翌年2月の国会で、事業者公募の際の評価基準の見直しを訴えた。三菱商事陣営の総取りで洋上風力への事業参入の目論見が崩れた企業の1つが日本風力開発だった。

報告書は総取りを受けたJWPAの提言について、「きわめて閉鎖的に取りまとめが行われ、不適切だった」とし、「執行部の自負や思い込みが強すぎたものと考えられる」と総括している。

この公募の結果が出る約1年前の2020年9月。JWPA会員企業と秋本議員の間で昼食会が開かれた。官房長官だった菅義偉氏が出席する予定だったが、首相に就任したため欠席。菅氏の名代として出席したのが秋本議員だった。

その席で秋本議員は、洋上風力の公募入札ルールについて「具体的な“味付け”をエネ庁に指示している」と強調。入札ではベスタス社(デンマーク)製の風車を採用するよう昼食会に出席した企業に繰り返し求めていた。

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事