「ポスト資本主義」では日本が再び先進国になる訳 マルクス・ガブリエル氏が語る日本の可能性

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「We Don't Have Time」は、アメリカ中の市、あるいは州で決定権を持つ人たちに情報を提供し、例えばドナルド・トランプが石油業界に有利な政策を推し進めようとした時に、それに反する動きを促したりしています。

企業には「哲学責任者」が必要だ

――ガブリエルさんは、「倫理資本主義を浸透させるには、各企業にCPO(Chief Philosophy Officer=最高哲学責任者)が必要」と提案しています。倫理資本主義においてCPOはどんな役目を果たすのでしょうか。

私自身、セールスフォースやロレアルのほか、多くの企業と仕事をしていて、その中には新進気鋭のドイツのAI企業もあります。(ガブリエル氏が教鞭を執る)ボン大学では州の経済省が後援する「認定人工知能」という倫理的基準に基づいてAI製品を認証するプロジェクトを行っていますが、このAI企業はこれを採用し、信じられないほどの成功を収めています。

採用している大規模言語モデル(LLM)は、ChatGPTと同じシステムですが、違うのはケルン市の行政データのみを使用しているところ。ネットからも隔離されているため、ChatGPTのような「幻覚」は見せないわけです。

例えば、「ある地域に保育施設を建設するための提案書を書いてほしい」とシステムに依頼すると、3分で3案を作ってくれる。そして最終的に私たちはそれらの案からいずれかを1つを選ぶ。これは生産性を向上するものであり、自動化するものではないので、誰も解雇されません。CPOは、ここでいうところの倫理的基準を作る際に使命を果たす、という感じです。

――OpenAIからはCPOなど倫理コンサルティングの依頼はないですか?

来年、京都でサム・アルトマンCEOとは会う可能性が非常に高いとは思いますが……。言えるのはそれくらいです。

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