「窃盗でデジタルタトゥー」身分偽る青年の人生 ある日、見知らぬ青年から「助けて」とDMが届いた
20歳と言っていた年齢は10歳ほどさばを読んでいたことが明らかになった。
「今まで本名を名乗らなかったのはネットに事件のニュースが残っているからなの?」
そう尋ねると、ルイトはぼそりとつぶやいた。
「そういう感じです。すごいニュースになったんで。今でも出てくる」。
“ルイト”はこれまでの人生を改めて語り始めた。
高校を中退してホストになったが、女性客の借金を背負わされて窃盗を繰り返すように。逮捕され執行猶予付きの有罪判決を受けた。
頼る先はなく、その後は麻薬の売人に。面倒を見てもらっていた暴力団の組員が逮捕されたタイミングで逃げ出し、身を隠しながら生きてきたという。
その話に不自然な点は感じなかったが、裏付ける証拠がないため、本当かどうかは定かではない。
生活保護を申請するも…
身元が判明して一夜が明けた日、彼の姿は福岡市東区役所にあった。
生活保護を申請するためだ。本名は分かったが、彼にはそれを証明するすべがなかった。
区役所の担当者は「あなたが○○(本名)さんだということを確認できないわけですよね…。身分を確認できるものが何もないのは私も初めてです」と苦笑いを浮かべた。
この日は窓口で就職活動の進捗や前科前歴について確認があり、彼はボロボロの歯を治療するために「歯医者に行きたい」と言った。