それはインバウンド客にたいしても同様だ。他店より早くガチャを店舗に取り入れた(帰国の直前に余った小銭を使ってもらうためだ)り、さらに日本の著名なお土産を一堂に揃え、「日本にやってきたら寄りたい店」としての地位を確立したり……。といった施策も外国人旅行者の立場に立ってみたときに当然の施策だったのかもしれない。
「日本土産」に考慮したパッケージ
タイトルでは半分ツッコミ待ちで「訪日客が必ず足を運ぶ」と書いたが、しかし、実態としてはツッコミ待ちにならないほどドン・キホーテは外国人旅行者から支持されているし、彼らと向き合っているのだ。
ちなみに、ドン・キホーテでは商品パッケージにできるだけ外国語を使わないという。それは、外国人旅行者への訴求性をあげるためらしい。というのも、たしかに日本語のパッケージのほうが外国人旅行者にとっては日本土産としてはふさわしい。これも外国人旅行者と中途半端に対話していたら外国語の記載をしていただろうが、旅行者の立場からすれば、むしろ日本っぽさを残したほうがいいとわかったわけだ。
外国人旅行者にとっては、ドン・キホーテで使う時間は、「時間消費」という言葉がふさわしい。店舗によって異なる品揃えや陳列。そして店舗内をうろうろすること自体が愉悦だ。
おそらく外国人観光客もそのうろうろできることが魅力に映っているにちがいない。京都で歴史的な建造物を見るだけではなく、外国人旅行者からすればドン・キホーテの店内も観光体験になっているのだ。ドン・キホーテのライバルは他のディスカウントショップではなく、きっと伝統的観光地とアミューズメントパークなのだろう。
日本は“安い国”と言われるが、なかなか使い道がないのも事実だ。ドン・キホーテのように、ふらっと入って、なんとなく商品が欲しくなる“トレジャーハンティング”型の店舗が外国人観光客の消費を喚起する。
その意味でも、ドン・キホーテは日本のこれからの小売業のみならず多くの企業の方向性を指し示しているように思えてならない。
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