ソフトバンクがメガソーラーに尻込み、自治体から上がる不満の声
「当初は非常に虫のいい話だったが、最近あまり虫のいい話は聞こえてこない」(上田清司・埼玉県知事)。ソフトバンク・孫正義社長肝いりの再生可能(自然)エネルギー発電事業に早くも黄信号が灯っている。
孫社長は福島第一原発事故後、自然エネルギー普及に邁進。5月にはソフトバンクとして事業参入を表明した。20メガワット級の発電所を全国に約10カ所建設する「メガソーラー構想」では、各自治体から借り受けた休耕田などに発電設備を設置、関連費用は原則同社が負担するとしていた。
これに全国の首長が殺到。7月発足の「自然エネルギー協議会」初総会までに35に上る道府県が参加した(写真は5月の協議会設立発表会見)。
中でも埼玉県は、上田知事がメガソーラー設置を選挙公約に掲げるほどの熱の入れようだったが、実際にはソフトバンクとの交渉は進んでいない。当初、80億円とされる費用のうち、79億円は同社が負担するとしていたのが、ここへ来て県に合弁会社設立を求めるなど、多くの点で折り合いがつかずにいるという。
環境部温暖対策課の担当者は「ソフトバンクからは候補地選定を要求されているが、費用をどの程度負担してくれるかわからず、動きようがない」と憤る。
一方、ソフトバンクは「各自治体には6月、個々の事例によって出資金額は異なると説明した。上田知事の真意がわからない」(藤井宏明・社長室自然エネルギー推進グループマネージャー)と一蹴。すでに全国150カ所以上の候補地があり、事業は順調に進んでいると説明する。