NTT西日本、「顧客情報流出」の先に待つ2つの難題 北村新社長「設備だけで稼ぐ会社から転換する」

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

――森林前社長の時代は、「成長分野」の売り上げ比率を2026年3月期に半分以上に高める目標を立てていました。この目標を引き継ぐことになるのでしょうか。

50%という非常にチャレンジングな目標だが、旗を降ろさずにやっていきたい。回線を増やすだけではなかなか厳しい状況なので、回線や通信関連の法人ビジネス、あるいはソルマーレに代表されるような新しい事業を拡大していかないとやはり厳しい。

NTT西日本の北村亮太社長
オンラインで取材に応じた北村社長。成長分野で売上高の半分以上を稼ぐという目標に向けて、継続して取り組むという(記者撮影)

――例えば、クラウドのところで言及されたコンサル営業を強化するうえでも、社員のリスキルのようなものが必要になると思います。どのように人を育てますか。

まずは、どのレベルのスキルを持った人たちがどのくらい必要か種別で可視化することから始め、人材のマトリクスを社内で共有する。こういう分野にリソースをこう置きたいというメッセージを発信しないといけない。

そのうえで、スキルは座学ではなく実際の仕事の中で身につくので、実践の場を増やす。そのために、リソースシフトが大事になる。月並みではあるが、既存分野の無駄をなくして生産性を上げ、そこに従事していた人たちを成長分野にシフトする。社員の納得感を上げていくために、CDP(長期的な視点でキャリア形成を支援する仕組み)を描いていくことがポイントになってくる。

万博は次世代通信技術のショーケースに

――大阪・関西万博が来年に開かれます。NTTグループもパビリオンを出す予定ですが、お膝元でもあるNTT西では、どういうかたちで関わっていきますか。

大阪に本社を持つので、万博に対する期待感は非常に強い。西日本だけでなく、グループの総力を挙げてIOWN(アイオン)(編集部注・NTTが開発する光電融合技術を活用した次世代通信基盤)を提供し、盛り上げていきたい。

NTTのパビリオンでは、物理的な距離や心理的な壁を越え、遠くの人や物と、空間や感覚を共有できる新しい体験価値を提供する。リアル・バーチャルで、ワクワクする未来のコミュニケーションの姿を見せたい。

西日本は会場内の通信基盤を構築し、期間中も保守をしていく。そこでしっかり役割を果たしたい。万博をショーケースにアイオンのユースケースを作っていきたいし、万博期間中とは別かもしれないが、それを1つのトリガーにしながらデータセンター事業者や、放送局、エンタメなどの分野の方々にもアプローチを進めていきたい。

茶山 瞭 東洋経済 記者

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ちゃやま りょう / Ryo Chayama

1990年生まれ、大阪府高槻市出身。京都大学文学部を卒業後、読売新聞の記者として岐阜支局や東京経済部に在籍。司法や調査報道のほか、民間企業や中央官庁を担当した。2024年1月に東洋経済に入社し、通信業界とITベンダー業界を中心に取材。メディア、都市といったテーマにも関心がある。趣味は、読書、散歩、旅行。学生時代は、理論社会学や哲学・思想を学んだ。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事