マツダ、「ロードスター」が乗り越えた苦難 4代目は発売から2カ月で年間計画を"突破"

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10年ぶりに刷新した4代目の「ロードスター」。苦難の時を経て表舞台に姿を現した(撮影:梅谷秀司)

年間の世界販売目標は3万台。2015年度にマツダ全体で149万台の販売を見込む中では、その割合はわずか2%。だが、「マツダのブランドアイコン(象徴)。新世代の商品群を訴求する中心」(小飼雅道社長)として位置づけられるのが、4代目の新型「ロードスター」だ。

実に10年ぶりのフルモデルチェンジで、1989年に発売されて以来、今年3月までの累計販売台数は94万台と、小型オープンスポーツカーのジャンルでは世界で最も売れている。国内にもコアなファンが多く、今年5月の発売から2か月間で5900台を受注。月間販売目標は500台であり、すでに年間販売の見通しを実質的に突破したことになる。7月には米国で発売し、8月から欧州や豪州にも投入するなど、35か国以上で販売を予定している。

国内の新車販売が低迷する中、マツダの今年度の販売台数は約4割増の7万8000台(2015年4月~7月)と好調さが際立つ。これを支えるのは、昨年刷新したコンパクトカーの「デミオ」や今年2月に発売した「CX-3」だ。いずれも、SUV(スポーツ多目的車)の「CX-5」(2012年発売)から始まった新世代商品群を構成する車種で、環境と走行性能を高めた最新鋭のエンジンを搭載し、マツダのデザインテーマである「魂動(こどう)」を採用している。

発売前に異例のイベント

この新世代商品群の”トリ”を飾る車として投入されたのが4代目のロードスターだ。東京・大田区の関東マツダ洗足店の垣本紀雄店長は、「ロードスターに興味を持って訪れる新規のお客さんが増えている。結果的に、他の車種の購入に繋がることもある」と話す。

今年2月に行われたロードスターのイベント。参加者は開発者の説明に熱心に耳を傾けていた。

4代目の発売に当たって、消費者への訴求でも新しい取り組みが行われた。通常、新型車種はメディア向けに先行公開されるが、ロードスターは去年9月に日本、米国、スペイン同時開催のファン向けイベントで初披露した。

日本では今年2月から6回にわたって全国各地で、開発陣らがファンに新型ロードスターの魅力を語るイベントを開催。発売前の新型車に触れられるのは異例で、毎回の参加枠約60名に対して、応募の倍率が10倍になるほどの人気を集めた。集まった参加者は試乗で乗り心地を確かめたり、開発者に直接質問をしたりと、貴重な時間を過ごしていた。

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