記事と偽る「騙し広告」本当に排除できるのか ヤフーのステマ撲滅宣言に広がる波紋
従来のウェブメディアはバナー広告や記事広告が収入の中心にありましたが、ノンクレジット広告の存在により、一部メディアは広告明記のないノンクレジット広告に依存し、広告明記のある記事広告が売れないという現象も起こっていたようです。
業界団体であるJIAAによるガイドラインの制定や、今回のYahoo!の宣言により、こうしたノンクレジット広告はガイドライン違反であり、メディア事業のためにも大きなリスクがある行為であることが明確になりました。
ノンクレジット広告に依存していたメディアは、ヤフーニュースに記事が自動的に配信されること自体を根拠に、自社のノンクレジット広告の料金設定をしていたようですから、今回のヤフーの宣言を受けて、窮地に追い込まれることになります。
注目される「ネイティブアド」とは?
これによりノンクレジット広告が一掃されると、当然ノンクレジット広告に変わる広告手法が必要となる可能性が出てきます。そこで注目されるのは米国ではそもそも広告明記がされた形で普及し、市場が急速に拡大しているネイティブアドと呼ばれる手法でしょう。
ただ、今後の日本におけるネイティブアドについてひとつ重要なポイントになるのは、今のネットメディアの記事広告の質です。ポータルサイトやニュースアプリ、はたまたソーシャルメディアなど外部の力を借りたとしても、そもそも面白くて反響を呼ぶような記事広告が少ないのです。
読者に読まれるための工夫よりも、クライアントの意向を気にして萎縮した内容にまとめると、それは読者に見透かされ、読まれないし、拡散もしない。検索にも引っかかってきません。
従来の記事広告を、広告明記がされていても読者が楽しんで呼んでくれるような本当の意味でのネイティブアドに変化していくことができれば、それがメディアにとっての重要な収益源のひとつになる可能性は十分あります。米国のネットメディアにおいては、バナー広告を掲載せずにネイティブアドだけで年間1億ドルもの収入を上げている事例もあるのです。
これまで日本では、どちらかというと進んでノンクレジット広告に手を出すような質の低いネットメディアの方に先に広告費が落ちてしまい、広告明記を明確にしている質の高いネットメディアの方がビジネス的には苦戦してしまうという状況もあったようです。
今回のヤフーの宣言により、ノンクレジット広告にまわっていた広告費が、広告明記がされた正しいネイティブアドに投下されるようになれば、読者から支持される本当の意味で質の高い記事を生み出すことができる質の高いメディアに、きちんと広告費がまわるようになる可能性もあります。
ヤフーのステマ撲滅宣言は、後から振り返ると日本のウェブメディア業界の変化の引き金になったと振り返ることになるかもしれません。
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