記事と偽る「騙し広告」本当に排除できるのか ヤフーのステマ撲滅宣言に広がる波紋

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ヤフーはスタッフブログを通じて、「ステマ撲滅」を宣言。ニュースリリースは出していない

メディア関係者によると、ヤフーは、広告明記をしない記事執筆の営業を行っている事業者についての情報提供を広く求めているという話もあるようで、ヤフーがステマ排除に本気で取り組んできていることは間違いないようです。

ヤフーニュースは、月間約100億ページビュー(PV)という膨大な集客力を持ち、大手新聞社、通信社や有力な雑誌系、独立系オンラインメディアなどには、月間1000万PV単位でのアクセスをもたらすともいわれます。

望むと望まざるにかかわらず、今回、配信契約の解除となった3媒体は、ヤフーニュースからのアクセスが今後ゼロになります。オンラインメディアとしての運営に、相当な影響を及ぼすことは想像に難くありません。

ヤフーの方針表明は、さまざまな方面に波紋を広げています。これまで自社が運営しているメディアで、記事広告なのに「広告」「PR」「Sponserd」などと表記をしていないことを明らかにしていたCINRA.NETの社長が、自らのブログで今後業界団体のガイドラインに沿った形で、記事広告には広告表記を行うことを表明しました。

ノンクレジット広告に一石を投じたある記事

現在のところ、さまざまな話を総合すると、日本においては残念ながら一部の広告業界やPR業界において、広告明記がされていないいわゆる「ノンクレジット広告」を自社の商品やサービスをユーザーに認知してもらうための非公式な広告サービスとして利用するというケースが、われわれ読者の想像以上に大きく広まっていたようです。

「ノンクレジット広告問題」と呼ばれる、この広告と表記されていない記事広告事例の問題が明るみに出たのは、ゴールデンウィーク中の、やまもといちろう氏によるヤフーニュースでの告発記事が最初のきっかけでした。

サイバーエージェントなど特定企業の社員が違法なネイティブアドビジネスにぶっこんでいる件で

この記事で明記されたうち、特にポイントとなるのは、業界団体である日本インタラクティブ広告協会(JIAA)がノンクレジット広告を問題であると定義したガイドラインを3月に公開しており、そのガイドライン策定に関わっていたサイバーエージェントがガイドライン違反をしているという告発がされた点です。

結果、この問題提起を受ける形で、サイバーエージェントグループからは5月12日にお詫びのリリースがサイトに掲載される結果となりました。

掲載済ネイティブ広告における一部ノンクレジット広告事例に関するお詫び

さらに並行してウェブニュースの複数のノンクレジット広告に携わっているという三田ゾーマ氏の告発本『ウェブニュース一億総バカ時代』(双葉新書)が出版されます。

これらの出来事をきっかけに、この問題に対するさまざまな議論が巻き起こることになります。

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