通勤復活で「超満員」再び?鉄道混雑率ランキング 2023年度・100%以上の全国143区間を独自集計
輸送人員が大幅に増えたのは、3位の東京メトロ日比谷線・三ノ輪→入谷間も同様だ。ピーク時1時間当たりの輸送人員は4万5271人で、2022年度よりも約7500人増加。2019年度比でも約2200人増えた。
2022年度と比較して輸送人員が3000人以上増えたのは26区間で、最多はJR常磐線各駅停車・亀有→綾瀬間の7660人。ほかにはJR京浜東北線、JR総武線快速、小田急小田原線、JR中央線快速、東京メトロ東西線など、かつての混雑率ワースト上位路線が並ぶ。混雑率は以前より低いが、オフィスへの出勤が再び増えつつあることを示しているといえるだろう。
測定区間が異なるケースを含めれば、最も輸送人員が増えたのは相模鉄道(相鉄)本線だ。2022年度、同線の最混雑区間は平沼橋→横浜間で輸送人員は3万3766人だったが、2023年度の最混雑区間は鶴ヶ峰→西谷間に変わり、輸送人員は4万2406人へ約8600人増えた。2023年3月に西谷から新横浜を経て東急線に直通する相鉄新横浜線が開業した影響とみられる。
一方、利用者の減少に応じた運行本数削減などでピーク時の輸送力が下がった路線もある。2022年度比で1000人分以上輸送力が減ったのは10区間。JR中央線快速は輸送力が1480人分減少した一方、輸送人員は5900人増えて混雑率が19ポイント上昇し、ワースト5入りにつながった。
ラッシュ時への「集中」今後も防げるか
コロナ禍で大幅に落ち込んだ鉄道の利用者数はかなり回復が進んだものの、以前の水準には戻らないとの見方が一般的だ。ただ、主に都市圏の通勤輸送を担う大手私鉄16社の輸送人員を見ると、すでに2000年代半ばのレベルには達している。2023年度の16社合計年間輸送人員は約93億4000万人で、これは2005年度の約91億2000万人を上回る。
一方で、混雑率は2005年度の大手私鉄主要区間平均が155%(日本民営鉄道協会データ)だったのに対し、同じ区間の2023年度平均を算出すると127%と低い。以前からかけ声だけは盛んだったものの、なかなか広がらなかった時差通勤がコロナ禍を機に浸透したことを示しているといえそうだ。今後も利用の分散などソフト面での対策を進めて、かつての「殺人的ラッシュ」を回避することが重要だ。
この数年で様変わりした働き方や通勤のあり方。鉄道の混雑率データは、都市部の人々の行動変化を映す1つの指標であることは間違いない。
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