ミスドはなぜ「なんか、ちょうどいい空間」なのか 値上げしても業績絶好調、背景の「空間の魅力」
まずは、①である。ミスドはドーナツを食べられる場所だけでなく、「カフェ」のような使われ方もしている。特にSNSを見れば「ミスドでテスト勉強」とか「ミスドで仕事した」なんて投稿が目に入る。
ミスドがカフェ的に利用される背景には、そのサービスの影響が大きい。多くの店舗でコーヒーのおかわりが無料なのだ。ブレンドコーヒー(税込297円)を頼めば、それを何杯でも飲むことができる。
そのため、そこでコーヒーを買って長居をし、勉強や仕事をする人も多い。また、今や作業に欠かせないWi-Fiが付いているのもポイントが高い。
さらに、他のチェーンカフェに比べて、ミスドはテイクアウトの比率が高い。そのため、行列ができていたとしても、店内自体そのものが満席ということはそこまで多くない。勉強や作業をしたい人にとっては、穴場的な存在になっている。
こうした「長居客」は、店の利益にとっては望ましくないと思われるかもしれない。ただ、今見たように、多くの人がテイクアウトで活用する業態だからこそ、店舗に来る客へのサービスを行える側面もあるだろう。
「だらだらいられる」を可能にする食事メニューたち
ミスドの空間を特異なものにしているのは、これだけではない。カフェ的な側面だけでなく、レストラン的な要素も持っているからだ。しかも、そこで長居するのにはちょうどいいメニューが多く提供されている。
私がインタビューした人も、「ミスドはコーヒーが飲めるからいいけど、小腹が空いたら飲茶やドーナツを食べられるのもちょうどいい」と言っていた。作業をしている途中でちょっと小腹が空いたら、ドーナツや麺類を食べて……なんてことができるのだ。
提供される食事の量も、まさにこの「ちょっと何か食べたい」を叶えてくれる。例えば、ミスドの定番メニュー「汁そば」は、普通のラーメンに比べれば、量が控えめ。けれど、これが間食にはちょうどいい。具も少なく、さらりと食べられる。
その他にも、「ガッツリ何かを食べる」のではない飲食メニューが揃っていて、まさにだらっと過ごすときにちょうどいいメニューが並んでいる。
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