マルナカ買収をテコに、業界再編へ虎視眈々のイオン

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マルナカ買収をテコに、業界再編へ虎視眈々のイオン

流通大手イオンは、中四国トップの食品スーパー、マルナカと山陽マルナカを買収すると発表した。買収額は約450億円。

全国に店舗網を持つイオンだが、四国は傘下の食品スーパーと総合スーパー(GM
S)を合わせても17店と手薄だった。マルナカと山陽マルナカは2社合計で211店舗を展開しており、2011年3月期の売上高は両社合計で約3300億円、営業利益は82億円。イオンは強固な収益基盤を手に入れる。

買収でイオンの持ち株比率はマルナカ94・6%、山陽マルナカ100%となる。これはイオンのM&Aでは異例。

「マルナカは中山明憲新社長に世代交代し、事業承継と新ビジネスモデル構築が課題だった」と岡田元也社長は言うが、過去出資したダイエーやマルエツ、カスミなど大手スーパーの持ち株比率は5割未満。出資企業の社風や人材を尊重する“連邦経営”を標榜し、完全には傘下に収めていない。

ただ、そのせいで相乗効果を発揮できていない面もある。たとえば、イオンのプライベートブランド(PB)「トップバリュ」を見ると、出資各社の取扱比率は高くない。各社がトップバリュとは別に持つ自社PBやナショナルブランドの仕入れを優先することも多いためだ。一方、マックスバリュなどイオン傘下のスーパーは、地方別の店舗シェアで2位以下に甘んじているところが多い。

それだけに四国首位のマルナカ買収は大きな意味を持つ。経営のグリップを握り一体運営を強化。PBなど大量調達がモノをいう商品はイオンが、目利きが左右する生鮮食品はマルナカが担う。

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