マルナカ買収をテコに、業界再編へ虎視眈々のイオン

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大手各社はGMSが強みとする大量の商品を供給する力と生鮮食品の鮮度が問われる食品スーパーの融合を言ってきたが、成功事例は少ない。しかも、地方の有力スーパーは創業オーナーによる経営が多いため、供給過剰にもかかわらず再編が進まない。イオンがマルナカと相乗効果を出せれば、オーナーの世代交代を迎えたスーパーが身売りに動き出すかもしれない。

有力スーパー株も取得

再編の胎動は、ほかにもある。マルナカは、マルエツや広島の地場スーパーであるハローズ、関西のイズミヤなどの株式を持つ。中でも注目はマルエツだ。イオンは約32%を保有する筆頭株主だが、マルナカ保有分と合わせると33%超となり、株主総会で重要な議案を拒否できる権利を得る。経営にコミットしやすくなり、場合によっては再編へと発展する可能性がある。

マルナカ買収を成長へのテコとできるのか。イオンの手腕が問われることになる。

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(撮影:ヒラオカスタジオ =週刊東洋経済2011年10月22日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 

山川 清弘 東洋経済『株式ウイークリー』編集長兼「会社四季報オンライン」副編集長

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やまかわ きよひろ / Kiyohiro Yamakawa

1967年、東京都生まれ。91年、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。東洋経済新報社に入社後、記者として放送、ゼネコン、銀行、コンビニ、旅行など担当。98~99年、英オックスフォード大学に留学(ロイター・フェロー)。『会社四季報プロ500』編集長、『会社四季報』副編集長、『週刊東洋経済プラス』編集長などを経て現職。日本証券アナリスト協会認定アナリスト、日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト。著書に『世界のメディア王 マードックの謎』(今井澂氏との共著、東洋経済新報社)、『ホテル御三家 帝国ホテル、オークラ、ニューオータニ』(幻冬舎新書)など。

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