日本の教育では、新しい時代を生き抜けない 田村耕太郎「海外子育て」の意義を語る

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――逆に、競争の激しい世界市場にあえて対応せず、日本国内で日本人向けの仕事をして生きていくほうが幸せだという考えもあると思います。ご意見をお聞かせください。

日本も変わっていくでしょう。「現在の日本」の継続を前提に子どもを育てるのはまずいと思います。人口減少や高齢化は深刻で日本は小さく貧しく老いていきます。財政や経済が大変なことになるのは間違いなく、加えて、中国の台頭とアメリカの外交力の低下などで、安全保障上も厳しい決断が迫られます。安全がタダではなくなるでしょう。そしてテクノロジーは容赦なく既存の仕事を破壊していくでしょう。

日本でグローバル化をめざすのは難しい

――日本国内で、グローバル化に対応する人材を育てることは、可能だと思いますか。それにはどのような方法があるでしょうか。

ケースバイケースなのでざっくり言い過ぎるのは弊害があるともいますが、不可能ではないでしょうが、国内でやるのは難しいでしょうし、時間とエネルギーとおカネのコストがかなりかかると思います。

――高校や大学での留学では遅い?

社会人はもちろん、中学・高校や大学では遅いと思います。遅すぎることはないですが、今までとはスケールもスピードも違う変化がやってくると思うので、自我が確立するまでに、多様性には自然に対応させてあげるべきです。

絵空事のように聞こえるかもしれませんが、日本中の親御さんたちには、無理をしてでもせめて幼児期だけでも多様性の中で、多言語で教育してあげることを何とか目指して欲しいです。

親御さんやメディアには、世界の子どもたちが受けている教育をもっと調べてみてほしいです。(今の子どもたちが成人する頃には)世界中の同世代、人工知能、自動化などのテクノロジーとの大競争が始まります。

人数が少ないのに、多くの負債が残される日本の子どもたちの未来は、今のままでは非常に厳しいと思います。日本人ならば、「子どもの教育」こそが21世紀に意味ある投資だと私は思います。国や地方にはそんな力はありません。しかし、時代は激変していくのです。厳しいですが、それが現実だと思います。

――娘さんの教育で、日本語のため、将来日本に戻るというオプションはありますか。たとえば、東大や早大などの大学も現在グローバル化に向かって入試改革や留学生の誘致など、などさまざまな取り組みを行っているようです。

娘が望めばありえますが、現時点ではその可能性は非常に少ないと思います。

日本の教育システムも変わるでしょうが、幼児期がインターナショナルなトラックに乗ってしまえば、教育の最終地点である高等教育も財政力に優れ、高い研究能力も持ち、世界から猛者が集まり続ける英米が終着点になるでしょう。そうなると日本の教育に戻すのは大きなロスで、得るモノが残念ながら多くはないと思います。

東大や早大の財政力からして、英米の大学に匹敵にする教育を十数年で作り上げるのは無理でしょうし、英米の大学はテクノロジーなどを取り入れてもっと先にいくでしょう。

――シンガポールのほかに注目している国や教育法は?

私はスイスかシンガポールで検討しましたが、シンガポールに圧倒的に分があると思いました。人の好みですから色々あってもいいかと思います。

北欧にも注目していますが、あそこまでいくと日本と離れすぎ、成長センターのアジアとも遠く、私も生活基盤を築けません。

――シンガポール、スイスともに、平均的なサラリーマンにとっては費用面で難しく、幼児だとビザの問題もあります。

シンガポールに教育移住されている方々は、資産家の方々ばかりではありません。一般のサラリーマンの方もたくさんいらっしゃいます。

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