「マイナンバー商戦」はここまで沸騰している 個人番号の通知まで、あと1カ月半
このサービスを始めるに当たって、日立は隔離された作業部屋を用意し、IDカードで作業者の入退室を制限。監視カメラを設置し、どのような操作をしたか記録するなどの対応を取っている。サイバー攻撃対策として、システムはインターネットにつながらないようにもしている。
派生ビジネスも続々と
マイナンバーは、アルバイトや自社外の個人事業主への給与・報酬支払いに際しても、提供してもらう必要がある。そのため、アルバイトの出入りが激しいコンビニや外食産業、多くの出演者を使って番組を制作するテレビ局、外部のライターに原稿執筆を依頼する出版社などでは、作業が煩雑となり、外注ニーズも高まるとみられる。
ただ、自社の社員とその家族以外のマイナンバーまで収集・管理するとなると、対応プロセスはさらに複雑化する。そこで派生ビジネスも続々出てきている。
富士通は、業務プロセスの見直しや情報セキュリティ規定の策定など、コンサルティングサービスを実施。システム担当者だけではなく、一般社員向けにもマイナンバー制度の教育事業を行う。
また、東証マザーズ上場のITbookは、数種類ある企業のサービスの中から、どれがその企業に本当に適しているかなどを、月300万~400万円で助言するサービスを展開している。
一般的に、日本の経営者はこれまで、直接利益を生みにくいセキュリティシステムへの投資に関心が薄い、といわれてきた。しかし、国策によりいやが応にも踏み込んだ対応が求められることで、意識改革が促されそうだ。
「ずっと付き合ってきたシステム業者のマイナンバー対応に不満を感じた会社が、当社に相談を持ち込んできた例もある」と打ち明けるのは、野村総研の渋谷氏。これまでのなれ合いの関係に変化が見られるとも指摘する。
マイナンバー導入を機に、システム全体の見直しにまで着手する企業が出てくれば、ベンダーの勢力図が変わる可能性もありそうだ。
(「週刊東洋経済」2015年8月8ー15日号<3日発売>「核心リポート03」を転載)
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